第71話 霑体塗足 てんたいとそく

 PiPiPiPiPi…お風呂にお湯が溜まってしまった。

 わざとらしく大きなため息を吐き

「じゃあ…シャワーお願いできます、先に行っててください」

 ヒョロチビを風呂場に行かせ、自分は電子タバコを吹かす。

「1本吸ったら行きますから」

 ナミは3本吸った。

 ヒョロチビがお風呂から出てくると、

「あっ、アタシもシャワー浴びてきま~す」

 と入れ違いで風呂場へ向かう。

 ダラダラと身体を洗い、湯船に浸かる。

(めんどくさい…帰りたい…ユキヤに会いたい)


 長風呂から出て、わざわざ下着を身に付ける。

「お待たせしました、じゃあ、ベッドへ横になってください…あっ、アタシ指入れNGなんで、触らないでくださいね、ちゃんと書いてありましたよねプレイ内容に」

 ブラを外そうとするヒョロチビに

「痛い!!」

 痛くは無いのだが、わざと苛立ったような声をあげ、少し睨む。

「自分で外すから…」

 ほとんどふくらみの無い少女のような胸をヒョロチビに晒す。

 先端に触れる度に身体を逸らし、力を入れられると痛いと声を出す。

 ショーツの中に手を入れられると

「NGだって言いましたよ」

 キツメの口調でプレイを止めてベッドから離れる。


 ヒョロチビの身体にローションを塗って、適当に触って、手で手早く済ます。

 終わると、ベッドから離れて、電子タバコを吹かす。

 勝手にフロントに電話して、エナジードリンクやらタバコを注文する。

 全部、自分の買い物だ。


「はぁ~、まだ1時間40分ありますけど…アタシ、お風呂入ってきていいですか?ローション洗いたいんで」


 そう言うと、ふたたび独りでお風呂場へ向かう。

 もちろん、ヒョロチビの許可なんて取る気はない。

 お湯を抜いて、再びお湯を張り直す。

 その間、脱衣場で歯を磨いて、イソジンでうがいする。

 わざと、大きな音を立てて。

 ドアの向こうへ聞こえるように

「キタネェー」

 と吐き捨てながら。

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