第50話 XX 女とは?
絞り出すような咆哮と同時に突き出された拳がピタリと止まった。
「届かなかったな…」
呟いて、ガクンと膝から床に崩れ落ちる。
ダラリと垂れた両の腕、躍動することのない身体。
意思を持たない身体、それはもはや物体だ。
事切れた。
僕は
(イレギュラーは僕の方だ)
人体実験の成れの果て。
パチパチパチ。
癇に障るリズムで拍手しながら彩矢子が入ってきた。
「戦わずして勝つ、真理よねーさすがだわ、それでいいのよ亜紀人。統べる側のNOAが戦うなんて、必要ないの、解ってるじゃない」
「そうだな、自滅を待つだけでいい。それだけのことだ」
「そう、正解よ。彼の寿命なんて、とっくに過ぎていたの、明日死んでも不思議が無いくらいにね老化は進んでいたのよ、見抜いていたのね、資料から」
「あぁ…アンタがコイツにドーピングを施したんだろ?」
「…彼が望んだのよ…一応、誤解のないように言っておくけど」
「そうだろうな、僕を試した、そういうことだろ」
「試したなんて…そうじゃないわ、そうね、どう対処するか?それを知りたかったのよ」
「それを試すと言うんだよ」
「やだ、気分を悪くしたかしら?」
「べつに…」
「あぁ、コレは片づけさせるから、今日は休みなさい、一応検査も受けるのよ、サクラ!! 亜紀人を医務室へ案内して」
出入口からサクラが入ってきた。
後ろには黒いスーツの男が4人、サクラに続く。
「コレを片づけて頂戴」
彩矢子がコレと呼んだ
「触るな!!」
「ソイツに触るな」
「なに?どうしたの亜紀人?」
「ソイツは…僕だ…僕自身なんだ」
僕は
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