第49話 Wail Weep 泣いて叫んで
「気づいていたのか?」
「ヒトの身体が、そんな都合よく強化できるわけがない。ましてオマエは老化のメカニズムを検証するための実験体でもあったんだからな…歪はでるさ」
「それを知っていて…逃げるだけなのか…
ひざまづいたまま、僕を睨む
「そんな身体を、さらにドーピングで強化したのだろう、完全にヒトの限界を超えているよ、満足か?僕を超えられて」
「U…Waaaaaaaaaaaaaaaー」
ポタリと床に涙が零れた。
「それを…そこまで解っていて、オマエは俺と拳を交えることすらしないのか…」
「無駄だからな、こうしている間もオマエの肉体は老化を加速させていく、ピークを越えた身体は劣化していくだけだ、オマエの場合は、その劣化も加速度的にな、死ぬ気だったんだろ…俺を殺さなかったのはなぜだ?」
「殺せないさ」
「殺せたはずだろ?」
「殺せるはずはないだろう!!」
床に己の拳を渾身の力で叩きつける
ドグシャッ!!
骨が砕ける音が僕の足元から振動で伝わる。
(もう、身体は無理な新陳代謝に付いて行けなくなっている)
「見ろよ…崩れていくようだ…わかるんだよ、1日毎に老化を感じるんだ、解るか?オマエに解るか!! オマエに…俺の気持ちなど解るはずもない」
「そうだな、解らないだろうな。考えたことも無いさ、出来損ないの気持ちなど」
「貴様!!」
床に伏していた
「殺す気で来い
「Fuuuuuuuー」
静かな咆哮がピタッと止むと
それは悲しく、そして激しく、泣いているようで、哭いているようで…。
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