第48話 Vex Validation イラだちの理由

「本気?…あぁ…そうだな、本気で対応しようか」

「そうしてくれよ…張り合いが無い」

 ニタリと笑うNo23ツゥスリー

(本気か…)


 僕は両手を胸の前までスッと上げ、つま先立で構える。

「カウンター狙いか…ナメるなよ!!」

 No23ツゥスリーの猛攻、カウンターなぞ撃たせないという速度で手足が僕の身体を掠める。

 実際、速度も力も、そして体術も僕はNo23ツゥスリーに及ばない。

 辛うじて、躱すことならば、なんとか凌ぎきれるだけ。

 そして…人には固有のリズムがある。

 呼吸のタイミング、本能的に好む型があり…同時に避ける型もある。

「クセでも見極めるつもりか?無駄なことだよ、その前に殺す!!」

 明らかに攻撃のパターンが変わった。

 1撃、1撃が急所を正確に狙ってくる。

(そう…それでいい…)


 僕は、躱しながら、あるいは受け流しながら、その時を待っていた。

 訓練されたボクサーでも3分間撃ちあうなど無謀なこと…心肺機能を強化したって、呼吸を止めて撃ち続けることなど出来はしない。

 必ず、深く呼吸を吸い込むときには、動きが止まる。

 息を止める時間が長いということは、吸い込む量も多い、No23ツゥスリーは、必ず距離を取るように離れ、足でトトトンとリズムをとって、僕に向かってくる。

 細かな緩急こそ付けているが、基本的な動きは変わらない。

 僕は、彼の攻撃を躱す時に息を吐いて、受け流す時に吸い込む。

 彼が息を止めてるときに吸い、吸っているときに撃つ。


「そろそろ…終わりにしようかNo42フォウツゥ

「終わりに?オマエがだろ?」


 No23ツゥスリーの表情からは余裕が消え失せている。

 稼働限界。

 No23ツゥスリーは身体、筋力の強化を繰り返し、その肉体は老化を早めている。

 動けば動くほど…老化が早まる。


 僕が資料から推測した結果だ。

「こうして避けているだけで…オマエは勝手に自滅する…違うか?No23ツゥスリー

 No23ツゥスリーがひざまずき、歯ぎしりしながら僕を睨んだ。


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