第44話 Ruthless Resolution 無慈悲な回答

 車が研究所に着くと、No23ツゥスリーが入口に立っていた。

No42フォウツゥ休暇は楽しんだかい?」

 ニヤニヤと下卑た笑い顔で近づいてくる。

 スッと間に入るサクラ

「亜紀人さまは、すでにNOAの名を頂いている、貴様のようなナンバーズとは違うのだ…下れ」

 静かに、それでいて力を込めてサクラが言い放ちNo23ツゥスリーを睨みつける。

「NOAね…運だけで名乗れるんだな、随分と軽くなったもんだ」

 サクラがドンッとNo23ツゥスリーの肩を押して道を開けさせる。

 僕は黙ってNo23ツゥスリーの前を通り過ぎようとするとNo23ツゥスリーが僕の肩を掴んだ。

「俺の細胞を調べてるんだろ、結果は教えてくれよな」

 僕は視線だけNo23ツゥスリーに向けてこう言った。

「教えてやるよ…2日後にトレーニングルームを予約しておけ」

「クククッ…誰にも邪魔させないさ」


 エレベーターに乗るとサクラが心配そうに聞いてきた。

「構うことはないのですよ亜紀人さま」

「いいんだ…僕も、やられっぱなしは我慢ができない…」

「そんな…些末な事です!!」

「うん…そう思えない自分に嫌気が差すよ」


 その後は無言のまま、応接室のソファに腰かけた。

「なにか飲み物をお持ちします」

「うん」

 ハーブティに口を付けると彩矢子が入ってきた。

「おかえりなさい、楽しんできた?」

「あぁ…でも贅沢すぎて疲れたよ」

「風俗嬢には過ぎた扱いだったかしら?」

 僕はキッと彩矢子を睨んだ。

「怖い目しないで亜紀人…心配なだけよ」

 僕は、乱暴にティーカップをガチャリと置いて部屋へ戻った。

「そんなこと最初から知っている」

 そう呟きつつも苛立ち、僕は壁を蹴ってしまう、この感情を彩矢子は知っているのだ、そのうえで僕をイラつかせるために、あえて口にする。


 彩矢子は僕の味方じゃない。

 ただ必要なだけ…だから僕を嫌悪するだけ…。

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