第41話 Oral Outspoken 素直に言える

「サクラ、夕食はホテルの?」

「左様です、個室を用意しました」

「うん、部屋に運ばせてよ…彼女、コンビニで夕食も買ってたよ、お弁当とかデザートとか」

「はっ?」

「ん、いやホテルの料理にも口は付けるだろうけどさ…結局食べるのはソッチじゃないと思うから」

「はい…」

「それと、僕も服を買うよ」

「下の階に紳士服がございますので…」

「違うよ、ラフな服に着替えるのさ…」

「はい…」


 ナミは高価なブランド品を買うことは無かった。

 少し高めの服や鞄を買って、化粧品を買っていた。

「かぶれないかな?肌に合わないのあるからね~」

「そういうものかい?」

「そうだよ~ねぇ~サクラさん」

「えぇ…まぁ…」


 ブラブラとデパートを歩き、店を眺めて回る。

 いつの間にか、サクラとナミが前を歩き、亜紀人は少し後ろを付いていく形になっていた。

 思えば、サクラとナミは歳も近い20歳半ば、実は育ってきた環境も近いものがあるのかもしれない。

 お互いに一般というレールからは外れて生きてきたように思う。

 僕が言うのもおかしいが…。


 ナミの買い物が終わり、僕の服を選んでもらった。

 最初はナミがアレコレ選んでいたが、なかなか決まらずサクラを巻き込んで、今や友達のように笑いながら話している。


 試着室に放り込まれる服を着ては見せて、脱いでまた着る、幾度か繰り返し、僕は普段着と、カジュアルな服を何着か買った。

 笑って買い物をするなんて初めての事だ、おそらくはサクラも…。


 着替えて、スーツをサクラに預けた。

 車はホテルへ到着した。

 静かに停車して、ホテルのドアマンがドアを開ける。

「サクラ今日はありがとう」

「いえ…仕事です」

「仕事なの~大変だね~…あっ、コレあげる」

 ナミがサクラに口紅を差し出した。

「あのね~さっき買ったの、この色似合いそうだな~って思ったの」

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