第35話 Ignorance Inclination 無知ゆえに

明日は休暇、早めに研究室から自室へ戻った。

実際に手を動かして何かするということもなく、基本的にサクラに指示して結果を待っていればいい。

手始めに自分のDNAとNo23ツゥスリーのDNAを比較してみることにした。

解析には日数が必要だ、結果が出る頃まで休暇と仮説を検証することにしている。

仮説なんて本当は何の意味も無い、妄想と変わらないレベルだ。

そして、その妄想に固執したとき結果を曲解してしまうことすらあり得る。

真実が自分の思考の許容範囲内とは限らないのだから。


僕は…何も知らない。

自分の事すら知らなかった…知りたいとも思わなかった。

今は…知りたいと思う。

それは、好奇心ではないと思う、もちろん仕事でもない。

きっと、僕はヒトを知りたがっている。

『ナミ』を知りたがっている。


僕にとってヒトとは『ナミ』のこと。

自分が普通という部類から外れているのは解った、その理由も含めて。

その自分から見て、ヒトとはそれだけで自身と異なる存在

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