第22話 Vex in car イラつく車内

 車内には一触即発の緊張感がピーンと張り込める。

No23ツゥスリー…やめてください…No42フォウツゥは特別なんです、これは…」

 ゴキンッ!!

「命令だったな…」

 鈍い音が車内に響きNo23ツゥスリーが静かに呟くと車内が静かになった。

 同時に胸の圧迫感がフッと無くなった。

(殺したのか…)

「デザイナーズベイビーは…感情のコントロールが不得意みたいだぜ…ハハハ…ハハハッ」

 笑うNo23ツゥスリー、落ち着くまでに少し時間が必要だった。


No42フォウツゥ~、いつでも帰ってこいよ、でないと…殺したくなる」

 車を降りるまで、僕は無言で車内は静かなものだった。

 ただ…足元に死体が転がっている…特有の匂いが鼻に付く。

 暗い視界で足元から放たれる死体特有の匂いが余計に癇に障る。

 だけど…どこか懐かしい。

 思い出すのは、戦場の記憶。


 どんどん昔に戻って行くようで…大人しくしていれば何もされないと言い聞かせる反面、僕は、どうしたらこいつ等を殺れるかを考えている。

 気配は4人、はっきり言えば、No23ツゥスリー以外は数にもならない。

 僕は、No23ツゥスリーを殺すことを考えている。

 おそらくNo23ツゥスリーも僕を殺すことを、それだけを考えている。

 彼の脳内では、僕は色んなパターンで殺されていることだろう。

 単体での戦闘、こと格闘となれば僕は彼には勝てない。

 ゆえに、彼の脳内では、僕は一方的にいたぶられているはずだ。


 そんなことを考えていると、余計に苛立つ。

 それを打ち消す様に、戦場を思う…冷静になるには、あの頃を思い出すのが一番いい。


 停車して車内から蹴り落とされる様に降ろされた。

「またな…No42フォウツゥ、できればお前とは敵として遭いたいものだよ」

「ふっ…そうだな…それまでに死ぬなよNo23ツゥスリー


 目隠しを外すと黒いバンが小さくなっていた。

 降ろされた場所は、あのコインランドリーだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る