第21話 Underestimate human 器が小さい男

 翌朝、僕はこの施設を後にした。

 目隠しをされ、車に乗せられる。

「いつでも戻ってらっしゃい」

「目隠しをされてるんだ、場所も解らないのに?」

「ある程度、感づいているでしょうけど…監視は就くのよ、あなたの生活の邪魔にはならないでしょうけど」

「戻りたければ、そいつ等に…ってことか」

「満更しらない顔でもないしね…紹介するわ、彼の名は|No23《ツゥスリー

 》」

「よろしく…No42フォウツゥ

 聞き覚えのある声。

「あのときの爺さんか…」

「爺さん…キミと私は同じ歳だよ!!」

 腹に膝が入れられる。

「やめなさい!! No23ツゥスリー

「ゲホッ…同じ歳だと?…」

「そのわけも、ココへ残れば、すべて話すわ…」

 彼女…叔母の声…だから残れ、そう言いたげな声だった。

「いや…戻るよ…今は」

「そう…」


 車の中にNo23ツゥスリーがいることはわかった。

 独特の空気が車内を支配している。

No23ツゥスリーと言ったな、僕と同じ歳なんだって?」

「そうだ…同じ年に産まれたのだからな」

「ハハッ…つまりデザイナーズベイビーか」

「………」

「沈黙がそのまま答えだな…そしてお前は失敗作だったわけだ」

 心臓を押しつぶすような衝撃が走る。

「そうだ…俺は老化が早いんだ…後、何年も生きられない、だから時々、何もかもどうでもいいと思うこともある…口には気を付けろ」

「身体が自由なら、僕はお前に負けないさ」

「ふん…お前は戦闘訓練を受けただけだ…偶然にも…俺の老化の原因は身体能力の過剰な強化の副作用だそうだ…No20~N039までは身体強化が目的だったそうだ、俺は単体での戦闘能力ではお前を遥かに上回る」

「意外と…口が軽いんだな…知能のほうは人並か?」

「言ったはずだ…どうでもよくなることもあると!!」


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