第16話 Puppet expect 人形の願い

「姉に?アナタの?」

「そう…アナタの出生は理解したわね」

「僕が遺伝子操作で産まれたということはな…信じてはいないが」

「あら?意外ね」

 部屋が明るくなった。

「不思議に思わなかった?今まで生きてきて、他人に遅れをとったことなんて無かったんじゃない?」

「どういうことだ?」

「ん…何でも簡単に出来て来たんじゃないかって言ってるのよ」

「そうでもないさ…」

「周りと比べたことが無いからね…実感が無いとしたら、日本語だってすぐに喋れたでしょ?」

「習ったからだろ…」

「他の人はそう簡単にはいかないのよ…普通は」

「それがデザイナーズベイビーだってことか?」

「それだけじゃないけど、まぁ簡単に理解させるならそういうことよ、戦場にいたんですってね…アナタは生き残った」

「運が良かっただけだ…助けてもらいもしたさ、1人で生き抜けるほど戦場は甘くは無い」

「そう…幼い子供一人で生き残れるほど甘くは無いでしょうね…でも出来た」

「ここに来る前に、完全に、のされもしたけどね」

「それは仕方ないわ…やる気満々の彼と、女に気を取られていたアナタとじゃあね…フフフフ」

「それでも、あんな爺さんに簡単に抑え込まれたんだ…人違いじゃないのか?」

「アハハハ…自分の甥っ子くらい解るわよ、それに、あの爺さんもアナタと同じデザイナーズベイビーよ」

「はぁ?僕が甥っ子で…」

「そう、ワタシの甥で、あの爺さんは、アナタの兄弟よ腹違いのね」

「随分、歳の離れた兄弟なんだな」

「同じ歳よ…アナタと彼は」

「どういうことだ?」

「彼は、副作用というか遺伝子に問題があってね…身体能力や知能指数はアナタと同レベルだと思うけど…成長ホルモンの抑制が効かないの…まぁ惜しいけど失敗作なのよ、アナタに比べたら粗悪品ってことね」

「粗悪品…僕もいずれ、あぁなるのか?」

「さぁ…でも今の所、そんな兆候は出ていないでしょ、だから丁重に扱ってるのよ、私の甥っ子ってことで特別扱いはしないわ」

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