第14話 Nephew for DNA 甥っ子

 ベッドに横になる、窓はあるものの開きはしない。

 広いし窓もある、だけどここは…この部屋は、施設と同じだ。

 何も無かった施設の部屋と、なんら変わらない。


 ミネラルウォーターを冷蔵庫から取り出し、喉に流し込む。

 不思議とこういう環境の方がよく眠れる。

 監視されているわけではない、ただ逃げにくいということは、侵入も難しいということだ。

 だから警戒しなくていい。


「部屋にカメラは本当によろしいのですか?」

「もちろんよ、甥っ子のプライバシーは尊重したいのよ」

「甥っ子?」

「そうよ、知らなかった、あの子はね、姉さんの子宮を使って精製された子供だもの…遺伝学上の甥っ子」

「そうでしたか…」

No42フォウツゥはね、今の所なんの副作用も出していない素体なのよ、その理由は解らないけど…なにかあるんでしょ」

「そのナニカが解ればデザイナーズベイビーは正式に陽の目を見ることになる」

「そうよ、100体で始めた素体、現在まで生存しているのは7体だけ…しかも副作用が確認できないのはNo42フォウツゥだけなの…あの子は絶対に必要なのよ、姉さんの忘れ形見…」

「本当に…生きていてよかったですね、あのとき一度は諦めましたよ」

「フフフ…そうね…自爆テロに巻き込まれるなんてね…運が無いというのかしら」

「それは違いますよ、むしろあの状況で生きていたんです、運は有り過ぎるくらいでは?」

「そうね…あの事故は偶然だったのかしら?ハイジャックされた機を、偶然テロリストが迎撃するなんてあるかしら?」

「さぁ…あるいは、どこかが動いたとしても不思議ではないでしょう」

「どこか?…甘いわね…そのドコカはココかもしれないということよ…」

「……まさか……」

「そうね…フフフ、でも覚えておきなさい、ココはそれくらいの事やるところよ」

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