君達と作っていく物語

大葉

プロローグ

私は全力で走る。息が切れる。仕方がない。だって今までの人生で、今日が多分一番走っているような気がするから。でも、そうしないと、きっと今日、死んでしまうから。

私の前を走る2人が手を引いてくれる。2人は私の友達。私を死なせないようにするため、一緒に逃げてくれている。

急に2人が走るのをやめた。

周りを見渡す。いつの間にか、囲まれてたみたいだった。私に様々な方向から銃が向けられている。

2人は私の前と後ろにそれぞれ出た。庇ってくれている。一生懸命、囲んでいる人達に向かって叫んでくれている。何を叫んでいるのかは、分からなかったけど。

二人はまた走り出した。私も一緒に走る。

行きついた先は路地の裏だった。しかも運悪く行き止まりだ。

来た道を戻らないと先に進めない。

二人は顔を見合わせていた。そして、私にこう言った。

「君は、逃げるんだ」

そう言うと、何もない場所から楽器を召喚した。

一人が楽器を奏でる。一人は演奏者に指揮をする。

私の好きな、旅立ちの曲だった。

いつ聞いても二人の奏でる曲は美しいと思った。

辺りに光が舞う、そろそろ「逃げる」のだろう。

最期に二人に聞こえるように言いたかった。

自分の身が危険に晒されても私を守ってくれた二人に。

「また、3人で一緒に歌おうね」

私はその場から消えた。

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君達と作っていく物語 大葉 @onsentamago_821

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