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「ごめん」

「マスター? どうし」

「ミヨは男だ」

「え」

「しかもノンケの」

「え、えぇ?」

「うふっごめんね。でも、騙してなんかないよっ。可愛い恰好が好きで普段から女の子の服着てるってだけ。でもちゃんと女の子が好きだから」

 きゃるん♪と効果音が付きそうなほどぶりっ子を決めるミヨ。斉藤君はその衝撃によろけてバックバーから微かな悲鳴が聞こた。

「ごめんね。好意には気づいていたんだけど、あんまりにも可愛くて。てへ」

「てへじゃない。斉藤君をいじめるな」

「もーはなちゃんにかまわなかったからっていじけないで」

「しばくぞ」

「あーママに言い付けてやるーっ」

 ミヨはそう言ってケタケタと笑った。本当に奇跡の男の娘、といった容姿のミヨは裏の店【ミケ】のスタッフの一人だ。彼女とのデートが忙しいから週末は出勤しないらしく、ミケがいつも嘆いている。斉藤君のシフトとは被らないからミヨの存在を知らなかったのだ。

「本名は里見洋助だよ☆」

「聞きたくなかったぁぁぁ」


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