第4話 部活

2階の隅にある、小さな部屋。

私達[心理研究会]の活動場所だ。


「どーもです、ゆみちゃん…」

いつも通りのか細い声が聞こえた。

「どーも。」

この心理研究会の挨拶は『どーも』だと決まっている。


声をかけてきたのは高梨やよい。

前髪で顔の半分が隠れているが、私と話す時は口角が上がっている。どうやら私の事を好いてくれているようだ。


「ゆみちゃん、今日はアドラーの本、読む?」

相変わらず声は小さいが、楽しそうな感情は伝わってくる。

「うん」

短く返事をすると、やよいはパッと明るくなって本を渡してきた。


「どーもっ!」

「部長っ、どーもです…」

「レンさんどーもです」


背が高く首が見えるほどの短い髪。

やよいと対照的な歯切れの良い挨拶をしたのは部長の小柳レン。


「部長って呼ぶのやめなって。はずいわ」

「あ、すみません…レン、さん」

「3年あたしだけじゃん。自動的な部長だからなんか、ね!」

「は、はい…いえ、そんなことは」


「どぉーーーもーぉ!!」

か細い声をかき消す、大きくてハツラツとした声。

サラサラの髪を二つに結び、縞柄のニーソックスを履いていて派手なのは、七崎千沙。


「全員揃ったね。」


千沙の緑色の瞳を見て、ふとあの事を思い出した_


帰ったら封筒開けなきゃ。

面倒だ…

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