第3話 面倒

正直、この封筒を持ったまま1日を過ごすのは気が重い…

今すぐにでも開けてしまいたい。


でも、明日までと言われた。ということは、そんなに大変なミッションではない事が推測できる。


「誰でもできるミッション…と言ったところか」

私は封筒をクリアファイルに入れ、そのままバッグの中にしまった。

封筒は無くしてもいけないし汚してもいけない。

この封筒は面倒なルールがある分、きちんと管理しなければならないのだ。


「…面倒くさい」


ぽつりと呟いた。

誰にも聞こえないくらいの声で。




各教室にチャイムが鳴り響き、HRが始まった。

「はーいみなさん、お席に着いてねー」

2年C組の担任、水島楓はいつも私達を小学生のように扱う。


「えーと。それじゃあまず今日の日直は葵ちゃんねー」

「葵ちゃんって呼ぶのやめてもらっていいですか?」

今日の日直、花咲葵は担任をキッと睨みつける。彼女は気が強い事以外を除けば完璧な女子だ。成績は優秀、運動神経は抜群、さらに美人だ。

「今日も楽しい1日を過ごそうねー!」

担任の毎朝の恒例の挨拶。

またいつも通りの退屈な日々が、きっと始まる。


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