第2話 封筒

「本橋さーん」

「…」

「もとはし、さーん!」

「…」

「もっとっはっしっさんってば!」

「わっ…」

耳からノイズキャンセル付きのイヤホンが外される。


「あなた、廊下を歩く時はイヤホンやめなさいよー!」

「え、あぁ」

「危ないでしょ!」

「…」

「聞こえてるの?!」

「そんなに近づかなくても聞こえてる」

「じゃあちゃんと返事してよね!はいっ、これ。明日までだから!」

「え、何…」

「じゃーねーーー!」


もう彼女の姿は、無い。

彼女の名前は茅野千晶。

猪突猛進な女子だ…わたしの苦手なタイプ。



「騒がしいな…!これって」


私の手にあるのは、緑色の封筒。


この学校には、きまりがある。


緑色の封筒を貰った生徒には、ミッションが課される。

そのミッションにはそれぞれ期限があり、

簡単なものほど期限が短く困難なものほど期限が長い。


「初めて貰った時は、半年前_ 」

あの時は緑色の封筒をよく知らず、

無視をしてしまって、-----に叱られ苛立ちながらこなした気がする。

何だったかは忘れてしまったけど…


思わず封を開けようとして、止まる。


学校内ではもちろん、誰かがいる時にミッションを見てはいけないのだ。

その内容は、この学校の誰にも知られてはいけない。

そしてミッションが終了した後、他の生徒に渡すのだ。


しかし、この緑色の封筒の奇怪なところは同じミッションは3人しか受けられない

…つまり

ミッションは3回終了後、誰かが封筒の中身を変えている事になる_


でも、ミッションの内容を他人に知らせてはいけないから誰が3回目で誰が変えているのかわからないのだ。

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