終章5話 俺達の娘
「マシン子、相談なんだが」
「どうしたの、義経?」
結婚式から数日後。
異世界の大陸を自動塊で爆走しながら幾つかの想い出を作った俺達は、幸せいっぱいで日本へと帰って来た。
「――どうだろう」
「良いんじゃない? 私は賛成よ」
「そういってくれると思ってたぜ!」
「アハハ。でも本人に聞いてみないとね」
「それもそうか。じゃ、ちょっと行ってくる」
地下工房に行くと、ブラン子が一人で梱包作業をしていた。
小さな身体で手際よく作業をこなす姿が逞しい。
マシン子救出作戦で大人ブラン子になった彼女だが、俺達が洞窟出口に辿り着いた頃には少女ブラン子へと戻っていた。かなり激しい戦闘だったのだろう。
「おはよう、ブラン子」
「義経様、おはようございます」
「今ちょっと大丈夫か?」
「はい、問題ありません」
「じゃあ端的に要件をいうぞ」
ブラン子は梱包の手を止め、こちらに向き直った。
「お前、俺達の娘にならないか?」
「え?」
「いや、何ていうかさ。養子に、家族にならないか?」
「家族ですか?」
「お前には助けられてばかりで、何もしてやれてなかったからな。家族になって俺達と一緒に暮らさないか」
「私が、義経様の、家族……」
「もちろん無理にとはいわない。ブラン子が嫌なら――」
「なります! 私、義経様の家族になりたいです!」
「ありがとうブラン子。一緒に幸せになろうな!」
「はい!」
俺とマシン子は結婚して幸せになり、広島はメグさんとラブラブだ。
じゃあブラン子は?
と考えた時に、俺達の養子になってくれないかなと思ったのだ。
親である菊川さんに申し入れたところ、『それは願ってもない話だよ! これで舞乱子もますます人間らしさに磨きがかかるね』と快諾してくれた。
「義経様」
「ん、どうした?」
「必要以上に顔が熱いのです。そして目から水分が……」
そういって顔を手で拭うブラン子を優しく抱きしめた。
彼女は肩を震わせながら、ギュッと腰に手を回してくる。
とても可愛い娘だ。
優しくて素直で、とてもたくましい娘だ。
俺は彼女の全力に堪えきれず、その場で失神してしまった。
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