4章2話 マシン・オリジナルウェブページ②
キラキラと目を輝かせて反応を待つマシン子。
褒めて褒めて、とその瞳が語りかけていた。
しかし俺は心を鬼にして盛大なダメ出しをせねばならない。
ウェブページは作った人の個性が滲み出るというが、幾ら何でも個性が強すぎる。
優しい言葉でいってはみたが、要するにダメすぎる。
「この何度も線を重ねてあるタイトルは何だ」
「毛筆感っていうの? そういうの恰好良いじゃない」
「なら毛筆フォント使えよ! これじゃ何書いてんのか解んねーよ」
「芸術って最初は認められないものね」
「それとページの大部分を占めるこの『ペットボトル』のゆるキャラは何だ?」
「失礼ね、これはシロクマよ。お店のマスコットキャラにしようかな~って」
「絵心もないのに描くなよ! マスコットがペットボトルとか意味解んねーよ」
「シロクマよ!」
「それとコンテンツが
「でも嘘はつきたくないわ」
「ついちゃえよ! そこは敢えてつかなきゃだろ。というか呪術使えたのかよ」
その他にもリンク先の間違いやフォントの不統一感、何故か店長紹介の画像に黒い目線が入っている問題やブログが恥ずかしいポエムになっている等々、ダメ出しをし続けたらきりがない。
自分で作ろうと頑張った意気込みだけは認めるが、世の中には想いだけではどうにもならないことが山程ある。マシン子は何でも器用にこなすイメージだったが、人間らしく不得意なこともあると発見できたのは嬉しいが。
なら俺が作ってやる!
といいたいが、俺も彼女と同じかそれ以下のスキルしか持ち合わせていない。
これはウェブデザインに詳しい奴を当たるしかないか。
「仕方ないわね。また作り直すわ」
「マシン子、よく聞いてくれ。厳しいようだが何度作っても多分結果は同じだろう。それはお前が悪いんじゃなくて向き不向きの問題だ。お前はアクセサリーを加工するのは得意だがウェブページを作るのには壊滅的なまでに向いてない」
「じゃあ義経が作ってくれるの?」
「俺が作っても似たり寄ったりのページになる自信がある」
「もしかして業者に頼むの?」
「いや、こういうのができる奴に心当たりがある。そいつに連絡を取ってみる」
本当にできるかどうかは解らないが『体型的に』できるような気がするんだ。
俺はスマホを取り出し、そいつの番号をタップした。
親友であり半魚……いや、メグたんの彼氏でもある男。
プルルル……プツッ
『……もしもし』
「よう、相変わらず太ってるか?」
『はは……、義経か。どうしたんだ?』
何だか怠そうだな。寝不足なのかな。
俺に超薄型のアイテムを渡してきたくらいだ。
連日連夜、彼女との甘い夜を過ごしていてもおかしくはないか。
「広島、お前ウェブデザインとかできる?」
『まあ、それなりにはね……』
「本当か! 実はちょっと手伝って欲しいことがあってさ」
声は怠そうだったが広島は俺の頼みを快く引き受けてくれ、明日の夕方にこの工房で待ち合わせることとなった。
さすがデブゴン。
見た目どおりそっち方面に詳しくて助かったぜ。
(※個人の感想です)
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