第16話

今で5分経過した。

アリアは元がスライムなので全く影響が無い所か力が増してきているみたい。

僕には、そもそも異変が感じ取れないくらいの誤差でしかないからよくわからないけれど参加者の半分が脱落している。


試験官の女の子は手のひらに『炎』を浮かべ形状を変化させたりして遊んでいる。

そうしている間にも扉を開けてリタイアする人が続出している。


「今で脱落者が丁度半分。私の予想だと最後まで残れるのは10人程度って所ね。」


僕にとってはあと5分もぼーっとしておかなきゃいけない。でもこんなにシルバーになるのが楽で良かったなぁ。

遅刻しそうだったり、ぎゅうぎゅう詰めにされたり色々と大変だったけど無事クリアだ!


「ラークさん」


アリアが声を掛けてきた、なんだろう。もしかしてリタイア?


「注視されているのを感じます。多分レイカさんからです、なんていうか疑われているような...凄く気持ちが悪くて」


「試験官が?こっち見てないよ?」


彼女はずっと手のひらの炎の形を変えて遊んでいる。


「そっちからじゃなくて上からです。頭上にも数人待機しているみたいで、いつでも行動できる態勢を取っています。」


なるほど、上まで気にしてなかった。


「上かぁ、うーん、姿が見えないからやりずらい...ねえ試験官さん!」


「っ...!はい、なんでしょう?」


「さっきから僕の事ずっと見てるよね?なんか変な事でもあるの?」


「...いいえ、そもそも見てませんよ、ずっと火魔法の練習をしていましたし、そんなに辛いならリタイアしていいんですよ?」


「いや、全然辛くないけどさ。僕のアリアが不快に思ってるみたいなんだよね...」


「不快?失礼致しました。ではこの手は消しますね。ごめんなさい」


僕が伝えたいことがうまく伝わってないのかな。


「ハッキリ言います、上に居る人間をどかしてもらってもいいですか?アリアが不快って言ってるんです」


「ラークさん、もう大丈夫ですから!もう気にしてないですよ。」


「上?なにもありませんが、そのお姉さんですかね、その方ももう気にしていないとおっしゃっていますし。ただ不快に思われたみたいですので、後でお詫びをさせて頂きます」


この人間は何を言ってるんだろう。アリアを困らせているのを理解出来てないのかな。


「視線はまだ僕達を見ているままだよ。アナタが指示すれば済むんじゃないの?ねえ、そんなことも出来ないなら死んでもらうけれどいいよね」


「ラークさんストップ。もう大丈夫です、早くシルバーになって帰りましょう」


アリアがそういうなら僕はそれでいいけれど、コイツはムカつく。白色ってそんなに偉いのか?


会話が滞り、空気が固まる。その間にも魔力はドンドン増えているがそんな事は気にもならない。あと3分間このイライラを我慢しなきゃいけないなんて。アリアが居なかったらもう帰ってる。


---

「皆様おめでとうございます。と言いましても今回残ったのは7人ですね、ランクが上がると魔素が濃い場所に行く事が多くなりなす。今の状態に耐えれるアナタ達は相応しい。この白のレイカが保証致します。」


10分無事経過し、大きな笛が鳴った僕達は一列に並んでいる。


彼女がギルドカードを握ると一瞬にして銀の枠になっている。魔法なのか道具なのかわからないけれどとてつもなくスムーズに進んでいく。そして6人目まで来た。そう、次が7人目。


「次はアナタですね。名を」


「ラーク」


僕の番だ。



「ラークさん、先ほどは失礼しました。ではギルドカードを渡してください。」


目の前の人間は、早くと言わんばかりに右手の手のひらを上にして僕に向けているけれど、出す前に一つ質問がある。


「ねえ、なんで監視を付けていたの?」


「監視なんて居ませんよ。」


さあ早くとより僕に近付いてきた。


「そっか、ねえ、レイカ...だっけ?」


「なんですか」


彼女は軽く返事をする。多分、遅刻してきた理由の草原の調査がまだ終わっていないのかな。早くしろって目をしてる、ごめんね、でもね、初めて人間に対してイライラしてるんだ。殺さないだけ我慢してよね。


「僕と勝負してさ、僕が勝ったらホワイトに僕もしてよ。」

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