第10話
※アリア視点
アリアです。はい。結果から言うと、草原に生えている草がすべて薬草になりました。
花も枯れた葉も全部、普通の薬草になりました。傷薬一生作れそうです。
ラークさんが気合を入れ過ぎて、木魔法のなんかすごいやつを使ったらこうなりました。今からギルドに謝罪に行く所です、なお当の本人は...
「すみませんでした。すみませんでした。すみませんでした。」
「もう少し泣きそうな顔で言いなさい。」
「すみませんでした。」
謝罪の練習をしています。これ許されなかったら本当に大問題ですから、心を込めて謝ってもらいます。
---
「速かったじゃない...おお、凄い量ね。これは期待の新人ちゃんかしら。」
量は...ありますよ?そりゃあ、一日3食分ほどは...
「そ...そうなんですが、あのですね」
私の交渉力で何とか和解に持ち込みます、保護者の役目ってやつです。
「すみませんでした。いたいっ!」
この神様は、事情の説明の前に謝ろうとしてたのでとっさにお尻をひねりました。
「受付のお姉さんごめんなさい!弟の魔法が暴発して草原が全部薬草になってしまいました!」
「え...?あはは、冗談なんて言うのね」
「いや、アリア。暴発じゃなくてあれは木の精霊にお願...いたいっ」
「本当なんです...確認してみてください。」
「...マジで言ってるわけ?ありえねえだろ...診断魔道具が壊れるとか、草原が薬草になるとか今日はどうなってんだ...」
受付さん、素が出てます...
「すみませんでしたっ!」
「私からも謝ります!ごめんなさい。」
「ええ...よくわかんないけど、まあ新人だしいいわよ。それに前例が無いから対処の使用がないわ。とりあえず薬草を換金するわ。....はい銀3枚よ。草原の薬草までは換金しきれないからね。」
「ありがとうございます、それではまた後日...」
はぁ...足取りが重い。ギルドに通いずらくなるだろうなぁ。魔道具壊して時魔法使って草原を全部薬草にして...魔族でもそこまでしないわ...。
ラークは銀貨を握りしめて、ごはんだごはんと目を輝かせてるけど、この状況で食欲が沸くのが凄い。
とりあえず宿を取ろう、そして休もう....
「ラークさん、そろそろ宿を取って食事でも」
「賛成」
そんなにお腹がすいていたのか、神様って大食いなのかな。
「正直、探すの面倒だからその辺の宿でいいですよね。あ、こことかどうですか?1日銀貨1枚。相場はわかりませんが予算内で済みそうですし。」
私が見つけたのは、ギルド本部から5分ほど歩いて、路地に入った所だった。少し汚い外装だけど、何よりもう休みたい。
「アリアの決めた所ならどこへでもいくよー。」
ええ、行きますとも、今日くらいは私の言う事を聞いてもらおう。
宿の入り口の扉を引き、中に入る。
「いらっしゃい。何泊だい。」
「1泊2人で1部屋お願いします。食事はつけて頂いてよろしいですか?」
「あいよ、銀貨1枚と食事でもう1枚、先払いね」
接客してくださったのはお婆さんだった。ぶっきらぼうな接客だけど、お金の受け取り方が凄く丁寧だったから多分優しい方だろうな。
「ねえおばちゃん」
ラークさんが私以外の人間に話しかけるのをはじめてみた。
私以外の人に興味を持つのは初めてかもしれない。
「なんだいガキンチョ」
「おなかすいたからもうご飯作って。」
そうだろうと思いました。期待を裏切らないのがラークさんです。でも、さっきの目線はちょっと違うと思ったんだけどな。
「なにかと思えば飯かい。わかった、今から作るから1時間ほど部屋で待ってな。ほれ、2号室のカギだよ。」
「ありがとうございます、じゃあ行きましょうか」
「うん、でもアリア、先に行ってて。ぼくトイレいってくるね。」
ラークさんがトイレ?数日一緒だったけれど初めて行くんじゃないかな。人間の姿だからかな。私は返事を返して先に部屋に入る。
部屋の中は最低限の物しかなかったが綺麗に清掃されている。ソファーやベット、シャワー室もあったので不自由はしなさそうだ。
ラークさんが戻ってくるまで、ちょっとだけこの姿を崩してスライムに戻ろうかな。
意外と擬態って疲れるんだよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます