第9話

僕だけ変な文字で書かれたカードをもらい、隣の受付へ移る。

今更だけれど、冒険者希望の受付の場所はいくつもあるけれど、みんな女性だ。さらに言うとクエスト受注の受付は一つしかなく、受付の人は女性っぽい人だった。


「あら、新人さん?いらっしゃい。ゆっくり選んで行って、よかったら説明するわよ」


身長は2mを軽く越え、スキンヘッド、いくつもの筋肉のコブがあり素手で海を割るくらいなら出来そうな見た目をしている。大地の神と見間違いそうになったよ。


「はい、私たち初心者で何から受ければいいでしょう!」


「そうねぇ...その調子だと何も知らないだろうし、まずはこのギルドの仕組みから説明するわね。」


野太いのに無駄に高い声で、"彼女"は説明してくれるみたいだ。周囲の水の精達が怯えて逃げているし、彼女は僕に向かって魅惑の目線を放ってくる...ぼくもにげたい。



「まず、このギルドにはいくつかのランクが存在するわ。ブロンズからシルバー、ゴールド、プラチナ、ホワイト、そしてブラックの順に上がっていくわ。あなたたちがもらったギルドカードの枠が今のランクね」


僕たちは茶色だからブロンズってことだろうか。


「昇格の基準は3つ。

1つは、ギルドに貢献すること、まあたくさんクエストをこなしたり、敵を倒すって意味ね。

2つ目は、定期的に行われる昇格試験を受けて合格すること。試験内容は秘密よ。

3つ目は、『ホワイト』か『ブラック』からの推薦を受ければすぐに昇格出来る。」



3つ目が気になる。気に入られればそれだけで上がれるなんてずるい。

アリアもその3番について突っ込みを入れている。


「その3番なんですが、ホワイトやブラックの知人だけ優位すぎじゃありませんか?」


「そうでもないわ、むしろ3番が一番昇進に難しいと言われている。ブラックは”世界に4人”ホワイトは10人しかいないわ。ハッキリ言って私たちとは次元が違うの。ブラックに関しては一国の王と同じ地位を持つと言われているわ」


そうなんだ、僕たちよりも強い人ってどんな人だろう。


「じゃあさっそく初級クエストを受けてみる?」


「はい、じゃあこの薬草拾い...」


「アリアちょっと待って。ねえ、お姉さん。昇格試験っていつあるの?僕たちブロンズじゃ嫌なんだ。」


「おねえさん...アナタ若いけれど、気に入ったわ。昇格試験は明日あるわ。本来なら参加資格を満たしていないけれど...出たいなら私が特例で受けてあげる。」


話がわかる優しい人で良かった。でも明日かぁ。開催日が近くて良かったけれど今日のご飯どうしよう。


「ちょ...ラークさん、いきなり受けるんですか?」


小声でアリアが話しかけてきたけれど、もちろん受けるよ。だって僕たちより強い”ブラック”の人たちにあってみたいし。


「はぁ...ほんと突然ですね。私戦い方なんて知らないですよ...」


「大丈夫、僕が居るから。でもとりあえず今日のご飯代が無いから薬草拾い受けようか。」


初めてのクエストは薬草拾い、報酬は少ないけれど数を集めればどんどん上がるらしいしご飯いっぱい食べたいから『本気で』集めようかな。


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