第8話
「では、弟様もこちらの方へ手を添えてください。」
言われた通りに添えてみる。でも何も反応がない。あれ?
「それでは魔力を流してください。その魔力から体までの流れを読み取ります。」
え?...なるほど、魔力を流すといいってことだ、わかった。
僕は言われた通り、"軽く"魔力を流した。あんまり少ないと反応されなくても困るから多くも少なくもない"軽い"量だ。
すると...粒子が飛び散り丸の魔道具が光を放ち――
――爆発した。
勢いよくはじけてあたり一面に破片が飛び散る。
魔道具からは小さな爆炎と煙を発し、もう二度と使い物にならない状態だ。
「あ...あ...大丈夫ですか!お怪我はありませんでしょうか!?」
店内の人間たちが凄く混乱して慌てている。どうしよう、アリアに絶対あとで怒られる、早くなんとかしないと。
「すみません、急な魔道具の故障で...壊れるはずは無いんですが...今すぐ取り替え..えっ?」
「『復元』《リターン》」
早く直さないと怒られる...僕は、数秒前までの状態まで魔道具を巻き戻す。
破片や煙が魔道具に収束していき、ついさっき破裂したとは思えない完全な状態まで復元させた、これで怒られないし目立ってない、むしろ褒められるかもしれない完璧だ。
「ラークさん!!目立つ真似はしない約束でしょう!」
「あれっ?褒められると思ってたのに」
「今...もしかして時間を戻したんですか?」
「うん。数秒だけ。初級魔法だよね。」
「初級なわけないじゃないですか!時の魔法を使える人間なんて世界に両手の指ほども居ませんよ!」
アリアがすかさず突っ込みを入れてくる。...そうは言われても神域のみんなは使えて当たり前だし天界でも1年生の必修科目に入ってるから知らないよ....。
「...よくわからないけれど続けるね。手をのせてほんのちょっと魔力を流せばいいんだよね」
多いと爆発するなんて先に言っておいて欲しかった。この人間は凄く不親切だ。アリアが居なかったらお仕置きをしてるところだけど。
気を取り直して軽く魔力を流し込む、今回はほんの少しだけ。
するとさっきとは違って優しい光が魔道具を包み、しばらくしてからカードが出てきた。
「...現状が理解できませんが、読み上げます。えー....はい、読めません。」
受付の人によるとカードの文字が変になってて読めないみたいだ。治すときに間違ったかな...完全に戻ったと思うんだけどな...
「魔道具の故障ですかね...設立して以来初めての事例なんですが...もうわかりませんがとりあえず許可します。ようこそ冒険者へ、クエストは隣の受付から受けてください」
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