起きたら其処は



目を覚ますと俺は何処かの部屋のベッドの上で寝かされていた。


きょろきょろと周りを確認すると10ほどの部屋で机や椅子にソファーそして棚などの家具が置かれた部屋だった。


その家具は全てが何かしらの意匠が施されていた。


ここは何処なのかと疑問に思っているとドアからノックの音が聞こえた。


「お目覚めになりましたか?」


その声と共にドアから1人のメイドが入ってきた。


そのメイドは美人で俺と同じ年だと思うが、大人びた人というのが第一印象だった。


そして左目は彼女の名前が、マリア・テレンシアである事、彼女は冷淡な性格だという事、そして彼女は此方に対して不信感に近い物感じていて、加えて彼女はアイリス王女の専属メイドだという事を直ぐに教えてくれた。


名前がマリア・テレンシアという情報はどうでもいいが、大事なのはその後の3つ。


冷淡である事と、此方に対して不信感を感じている事。そしてあのアイリス王女の専属メイドだという事だ。


なぜ彼女が不信感を抱いてるのかは分からないし、何故アレの専属メイドが、この部屋に来たのかは分からないが、何がトリガーとなり彼女の不信感を敵意に変えるのは得策ではない。今はヘタなことを言わず無難にこなさなければ。



「はい、先程目が覚めました。あと、此処は?」


「この部屋は勇者様方に一人一人に与えられる部屋の一つです。」


「そうですか。…………あの、俺が倒れてからどれくらい経ったんですか?」


「勇者様はおよそ7時間ほど眠ってらっしゃいました。今は夜となっておりまして、他の皆様は大広間にて夕食をお召し上がりになり、大広間にて歓談をしておられます。お腹が空いていらっしゃるのでしたら、食事を部屋にお持ちしますが?」



確かに部屋の窓を見ればすっかり暗くなっているのがわかる。


時刻にすればおよそ午後8時といったところか。


普段ならこの時間まで夕食を食べていなければ腹は空くが、アレを見た後では腹が空いてはいなかった。


ただ、それを正直に話すのは危険なので



「いえ、大丈夫です。寝てたせいかあまりお腹は空いていなくて。あと、俺が気絶した後って何かありましたか?」



「はい、勇者様が気絶され医務室に運ばれた後、他の皆様にはこれからの事について、お話をさせて頂きました。私が此処に来たのも、その話をお伝えするためです。

先程トーマス様が話されていました通り、皆様には魔王を倒して頂きます。皆様の力ならば必ずや魔王倒せる事でしょう。


ですが、今のまま戦いに向かえば負けるのは必至。ですので、これから毎日武術の稽古と魔術の稽古を行います。



期間としておよそ三ヶ月ほどでしょうか。その後、国民に勇者召喚についての発表を行います。



何故、三ヶ月後に発表をするかというと混乱を避ける為の事前準備に時間が掛かる事と、腕試しと称して皆様に襲いかかる人物がいるかもしれませんで、ある程度力を使える時期を待つという意味もあります。以上が皆様にお話しした事をまとめたものです。他に何か質問はありますか?」



「今は、思いつきません。」


「それでは此方から2つ質問します。」


左目で見なくとも彼女の顔が厳しいものに変わっていくのが分かる。



此処が正念場だ。



「私がする質問の一つは皆様にも行った事です。が、もう一つの質問は私個人があなたに対してする質問ですので、お答えしたくなければ、それで結構です。」


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