王女様は………


扉から現れたのは豪華絢爛な服を着た4人の男女。


一番前を初老の男性が、その後ろに妙齢の女性と続き20代前半くらいの男が1人最後に角度のせいで顔はよく見えなかったが女の子が入って来た。



「陛下‼︎、王の間にお待ちなっていたのではないのですか⁈」


先程まで笑みを絶やさず、自信にあふれていたトーマスはとても慌てたように陛下と呼んだ男性に向かっていった。


陛下と呼ばれた男性は朗らかに笑いながら

「こちらが勝手呼んだにも関わらず、私が踏ん反り返って待っているのは変な話だろう?」


「それに…「私が我儘を言ったの」


男の話を遮る様に声が聞こえた。

その声はまるで鈴の音の様に澄んでいた。


その声の主は先程顔が見えなかった女の子の様だ。彼女は部屋にいる者全員から見える様に移動した。



彼女が移動してやっと顔が見えた。


彼女は美少女だった。


今まで見てきた誰よりも美少女だった。


大きな目や筋の通った鼻に柔らかそうな唇。全てが整った顔は可愛らしさと美しさを同時に含んでいた。


これ以上は俺の語彙では表しきれないが、とんでもない美少女だと言う事は分かって欲しい。



「私はこの国第一王女のアイリスと申します。この度は皆様、勝手に此方に呼び出してしまい申し訳ありません。ですが魔王を倒せるのは貴方方勇者だけなのです。どうか皆様私達の国を、世界をお救いください。」



彼女は涙を浮かべながらそう話した。

鈴の音の様な声がこちらに向けられ、優しく鼓膜を震わせた。


この場にいる男女関係なく誰もが魅了された。


俺もそうだった。

今までに見た事のない彼女の美しさに魅了された。


だが、気付いた………気付いてしまった。


左目がトーマスの時の様に見えない事に。


ただトーマスとは違い霞みでは無く、ナニかが遮って全く見えず、そして何と無くではあるが、この目が彼女のナニかに対して危険だと警鐘している様に感じた。



左目が危険だと警鐘しているが、そのナニかが判らないなら何が危険なのか判らない。


だから彼女を見つめ続けた。

そのナニかを知りたくて。












死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死



彼女のナニかは見えなかった。


見えたのは夥しい程の死だった。


直ぐ様、彼女から目を離した。だが、少し遅かった様で頭が処理に追いつけず、そのまま倒れ込み気絶してしまった。




倒れる最中俺は思った。






王女様は化け物でした。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る