episode 2-3 パーティー申請の町へ

「ふはぁぁぁ」

清々しい、いつも通りの朝なのだが場所も景色も違う。なぜなら、異世界に転生してきたからだ。

「昨日のは夢じゃないんだよな。本当に異世界転生してきたんだよな。帰りたいような帰りたくないような・・・やっぱり、もう少し楽しんでからにしよう」



「あっ!遅いよ、ヴィレイ」

「ごめん・・・」

料理が奥の厨房から運ばれて来るのが見えた。

そして、皆の机に置かれた。

「おいしそうですねヴィレイさん」

「そうだな。チトリは・・・」

「おいしいな!ヴィレイ。わらわは満足じゃ」

「って、もう食べ終わったのかよ!」

そんな、他愛もない会話をしているとクラリスが何か言いたそうな表情をしていた。

「クラリス。何か、言いたい事があるなら言ってみろ」

「えっ!あっ、うん。あのさ、今日は五階層に行くのも良いけどパーティー申請届けを出しに行かない?ついでに観光もしていくから」

「賛成じゃ」

「賛成です」

何か嫌な予感がした。

「待って!それは明日にしよう」

「なんで?」

「えっ。いや、なんとなく」

「じゃあ、今日でいい?」

「うん・・・」

「じゃあ、決まりだね。さぁ行こう!」

そういうとヴィレイとチトリ以外はうきうきした顔で飯を食べていた。



ヴィレム一行は町の門を抜けたところでクラリスが言った。

「いい忘れてたけど、野良のモンスターは出るからね」

「RPGでよくあるやつやな」

「えっ?まぁそうだね」

「じゃな」

「あっ。早速現れましたよ!」

「そうだな」

「うおぉりゃぁーーー!よし終わったぞ。わらわは強い子だからな!」

チトリが野良モンスターを倒せる理由。それは、お分かりかもしれないが、スライムしか野良モンスターが居なかったからだ。

「そりゃスライムしかいないからな。お前にも役割ができて良かったな」

「わらわにも役割が出来たのじゃ。やったのじゃ」

「こいつ……馬鹿だ」

と小声で言った。

「ん?なんか、言った?」

とクラリスが言った。これが自意識過剰ってやつか。

「何も言ってない」

「そう……」



そうこうしていると、町付近までやってきた。

「ここの前の受付でパーティー申請は出来るんだけど、ついでに町を観光していかない?」

「わらわはいいぞよ」

「私も、いいです」

「同じく」

「よし、じゃあ異論はないね」


「クラリスはどっか行きたいとこあるの?」

「えーと・・・。コロシアムかな」

「わらわは映画館に行きたいのじゃ」

「え?なにそれ」

「画像が動くやつじゃ」

「知らない。ヴィレムとマーラスは知ってる?」

「私はご存じないです」


チトリってもしかして転生してきた人なのか。それとも、ただの変人なのか。いや、変わっていることは間違ってはないのだが……。


「知らない……」

「お前も知らんのか」

「うん……」


「じゃあ、コロシアムに行くよ!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る