episode 2-2 それぞれの想い

「次ヤバそうだね・・」


「あれ?ボスしか居ないけどなんで?」

「私はあいつが食べたんだと思います・・・」

「嫌な事言わないでよ・・・」

「ぎゅるるるるぅー」と唸り声が聞こえた。

「マーラス、行くよ」

「はい!ヴィレイさん」


この世の中の人は全員固有スキルを持っている。それは、気付いた時には使えているらしいが僕にも使えるのだろうか……。


「連係プレイでいきますよ」

「れ・・・連係プレイ?」

「走って同時に攻撃するだけです」

「分かった!」

二人が同時に「うぉりゃー!!」と言った。

剣が獣の背中に同時に刺さる。

「ぐぎゃーー」

「やりましたね!」

「そういう事言うと……」

「ぎゅるるるるぅー」

「ほらやっぱり……」

獣の目線がクラリスの方へと向いた。

「えっ。ちょっと。やばい。この獣、こっち向いて。タチガスバルカ!!」

気が狂ったようにチトリのほうへと走っていった。

「来たか。わらわもスキルを使うか。ミュール!!」

獣は倒れこんで静かな眠りについたようだ。

「チトリとクラリスは何をした?」

「スキルじゃな。わらわの固有スキルであるミュールじゃ。相手をランダムに状態異常にさせるか、暴走する」

「えっ。それって使えなくね」

「そっちの方がわくわく感があって楽しいじゃろ?」

「・・・分かった。それは許可なしに使うな」

「しょうがないのぉ。それでいいぞよ」


「私が使ったのはタチガスバルカ。注目対象を自由に変えることが出来る」

「それは、他力本願なスキルだな。それはチトリのよりもゴミだな」

「ぐぬぬぬ。顔はかわいいもん・・・」

「え?そりゃそだけどさぁ、冒険するのにそれは必要ないから」

顔が照れ隠しをするように顔を覆いふさいだ後、こちらを見てまた赤くなった。

「え?そっそっそうだね。うん、そうだよ。私はかわいいから、今日、他の男を襲っちゃうもんねぇー」

「他じゃない男って誰なんだよ」

「えっそれはまだその時じゃないってゆうか、ここでは無理って言うか・・・」

「じゃあ、また今度でいいよ。てか、今日はなんかおかしいぞ」

「えっと、それは久しぶりのダンジョンだから揚がっちゃっただけだから!!」

「だからか」

「うん」

「もうそろそろ、暗くなってくるし帰ろうか」


      ーその後、ヴィレム一行は宿に泊まったー



「今日は色々な事が起こりすぎたなぁ。異世界に転生してきたのも今日だし、クラリスたちと出会ったのも今日だ。明日からはダンジョンの五階層の攻略をする事になるだろう。なんだかんだ、普通の異世界転生系の主人公してるなぁ。

主人公だけは・・・」


        ーその頃のチトリの部屋ー



「私も、この世界に転生してからもう半年か。わらわキャラも疲れるなぁ。でも、頑張ろう」


          ーマーラスの部屋ー


「ヴィレム。あの時助けてくれた人。好き!」



          ークラリスの部屋ー


「なんか、ヴィレイの事を考えると胸が変な感じがする。これって何?今日転生させて一緒に冒険を始めて、かわいいと言われた。あの人は意味がわかんない!!あーもう。全然わかんない!!」

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