episode 2-1 チトリの使い道
タワーへの一歩を踏み出した先には、タワーに潜るための許可を貰う受付とこの町の銘菓などの土産を買う店があったりして、とてもタワーの中とは思えないほどの雰囲気だった。
「ここって本当にタワーなのか?わらわが想像していたものとは大違いなのじゃが」
「僕も同感」
「私も同感です」
「そうだね。最近は観光客向けになってきているけど、受付通ったらちゃんとタワーだよ」
「じゃあ、受付済ましてくるからここで待ってて」
「あのさ、実はクラリスって攻撃手段をもってないんだよね」
「え?」と二人が同時に返してきた。
「それは攻撃できないって事ですよね。それはあまりいる意味が・・・」
「うん。ないよね」
「大丈夫だ。わらわが、全ての敵を息を吐くように倒すから問題ない」
八割方冗談で意味がないって言ったが、本当に意味がないからこれから先大丈夫なのかと
「受付済ましてきたよ。入ろう」
これで本当のタワーへの一歩を踏み出したのであった。
「ここがタワーの中か。そこにスライムがいるな」
後ろから突然。
「とぅりゃぁー!よし、スライム討伐完了!これで一階層目は終わりじゃ」
「いや、ボス倒してないでしょ!」
「そうかい。じゃあ、あのキングスライムっぽいやつを倒せば終わりじゃな」
「とぉりゃぁー!」と威勢のいい声を上げた。
キングスライムぐらいなら弱いので、もう二階層目へと行く心持でここにいる全員が思っていたのだが。「ボヨーン」明らかに討伐の音ではなかった。
討伐の音というよりは、スライムに跳ね返されたような音だった。
「わらわは、こやつを倒すことが無理だ。実はスライム以外戦ったことないからな」
「あれ?おかしいなあ、さっき全ての敵を息を吐くように倒すって言ってなかったっけ」
「それはスライムだけの話じゃ。それ以外はそなたたちが頑張れ」
「ということは、僕とマーラスしか、いる意味があるやつがいないってことになる」
「私もそう思ってしまいました」
「そんなこともないのじゃ。わらわは、ロリコンのヴィレムの夜のお供に使えるのじゃ」
「いや、僕はロリコンじゃないから!」
「冗談じゃ」
そんなことを話していると、誰かが倒していたらしく二階層目への階段が開かれていた。
「私がもう倒しておきました」
「マーラスが倒したんだ。ありがとう」
「次は二人で頑張りましょうね」
二人で頑張るということは、あの二人は要らないということを遠まわしに言っているのと同じだ。
「おっ!開かれたのじゃな!よし!わらわに続けー」
「なんで、お前がリーダーみたいになってるんだよ!」
「そりゃそうじゃ。わらわが行くと言い出したからな」
「そりゃそうか……」
「納得しないでくださいよー。このパーティーの均衡を保っているのはあなたなんですから!」
意外なところからのツッコミであった。
二階層と三階層はスライムしか居なかったのでマーラスとヴィレイでサクッと終わらせたのだが、四階層目の階段に足を掛けたとき獣の唸るような声が聞こえた……。
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