episode 1-2 ここの神は攻撃手段を持たない

「ワンワンワーン」と遠くから聞こえてくる。「犬でも捕虜にしているのだろうか?」

そう思ったよりも先に目の前のマラカストロに驚いた。高さは雲の上まで延びている。空を見ても太陽も月も無いようだし、どうやら僕は異世界に転生してきたらしい。「いや、でも僕はまだ死んでないしなあー」


「何をおっしゃるのです、あの世への扉を開いたではありませんか」

空から声が聞こえてきた。


「じゃあここはあの世なのか?」

「本当ならあの世にいく予定なのですが、あの下僕したっぱがあなた様をあの世に連れていくための嘘をついたのですが、その嘘を具現化する神の能力を使いなんとかなりました」

「ってことはこの塔を攻略すればいいんだな」

「そういうことです」

「じゃあ装備とか仲間とかはいないのか」

「そんなものはないに決まってるではありませんか!なぜなら、そもそもしたっぱに騙される人間様なんて初めてだから」


何気に僕は今バカにされた気がするが気のせいであると信じることにしよう。


「じゃあ神様が仲間になってよ」

「えーあーいいですけどもその代わり、名前を変えさせていただいてもいいですか?」

名前はヴィレイ。「ヴィレイか悪くないな」

だが、帰ったら元の名前に戻るのかは心配だし、それ以前に変えれるのかと言う不安は残ったが、気にしたら負けだと思い気にしないことにした。

「そんな、遠いのか近いのかもわからないような場所にいないで具現化してこいよ」

そういったが返事は無かった。その代わりに辺りが揺れ始めた。

捕虜であろう犬が吠えたのも遠くの方で聞こえた。



「ピカッ!」眩しい光がおき思わず目を瞑ったと思ったら辺りの揺れが収まり、犬が吠えるのをやめ、そして周りが明るくなり、白い天女の羽衣のような、きれいな髪をした白髪のかわいらしい顔をした女性が立っていた。


「あの・・・かみさまですか・・・?」

「そうだ、私がこの世界の全てのマラカストロを統べる神だ。

名前は、トラリス=アスクラレア=ハーマルだ。気軽に、トラリスでいい」

「分かった。トラリス!一緒に攻略しような!」

「それはいいのだが、私は戦うことができん。町に行って仲間を調達してこよう」

「それって、トラリスがいる意味ないんじゃ・・・」

「いや、確かに私は戦うことはできないがある能力を持っている。だが、まだ秘密だ。」

「なら、役に立つな」


ーそっから、僕の扉の中のタワーファンタジーは始まったー



ここは、町だ。トラリスの言うところによると、この世界一番の城下町らしい。

「この世界は全員普通の人間みたいな見た目なんだな。」

「そりゃ、異世界転生ものだからな」

「そういうこというな」

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