マストドンとツイッターの正しい共存

 さて、ここまで新しいSNSであるマストドンとはどんなものであるのか、ということをお話してきましたが、「正味Twitterに取って代わるほどのものなのか?」ということは、これまでお読みくださった方がもっとも気になるところであるはずです。



 ですが、私の現時点の結論から申し上げましょう。


 「Twitterを補完するものにはなるだろうけど、完全に取って代わるものにはならないだろうし、またそうあるべきでもない」というところが、私の立場です。



 マストドンは「コミュニティ性」を志向するものであると私は見ています。『Pawoo』ならマンガ・アニメ・ゲームとそのファンアートが大好きな方、『.nico』ならニコニコ動画のコンテンツが大好きな人のための「棲み分け」が一層進むと見ています。


 最大勢力の『Pawoo』さんの地位はおそらく揺るぎないと思います。

 そのうえで、今後さらにいくつかの有力なインスタンスが信頼できる管理人のもとで運営されていき、それぞれがそれなりの勢力となることでコミュニティ同士がマストドン全体でゆるやかにつながる流れができていくことが理想であると私は思っています。



 マストドンというサービスが「分散型」ないし「脱中央集権型」である以上、いくつかの信頼できるインスタンスが多くある方が、どこかで問題が起こった時の新しい受け皿としても機能しやすい。


 それを証明したのが数日前の中国からのユーザー流入と、それに伴う『mstdn.jp』への「帰還」という、一連の流れであるように私には思われます。


 このような、ユーザーにとって有力な選択肢となりうる受け皿をどこまで担保できるかで、マストドンブームが一過性で終わるか、『Facebook』や『Instagram』『Twitter』に次ぐ一大勢力となるかがかかっているのではないでしょうか。



 マストドンという大枠を尊重しながら、それぞれの所属で変に迫害しあうことなく共存することができれば、その時には他の既存SNSを凌駕する存在となることもありえるかもしれませんね。


 マストドンという大枠の運営を担う『social』の方々は大変でしょうけどね……

 


 一方で、マストドンが盛り上がっていったら、じゃあTwitterをはじめとする既存サービスは必要なくなるのか? といえば私はそうはならないだろうと思います。


 コミュニティ性をあえて排除して「コミュニティ外にも届く」ことに大きな特徴がある現行のSNSではそもそも性格が違い、運用方法も変わってくるからです。



 たとえばTwitterのリツイート数が「伸びる」のは、本来発信者とは縁がなく、その発信者の投稿を見る機会のなかったであろう人にまで届くからであり、Twitterの本質と価値はその点にあると私は考えています。


 Twitterでもっとも重要な点は、趣味嗜好などの合う人々と物理的距離を気にせずネット上でリアルタイムで交流できること――ではありません。

 

 もちろんそれも重要な要素ではあり、普段の利用はそれでかまわないんですが、それだけならば「最悪LINEだけでよくね?」で終わる話でしょうからね。


 それよりも、不特定多数の人と投稿されたツイートないし動画を共有できる、という点のほうがはるかに重要なのであり、その一点だけでもTwitterの存在価値は間違いなく存在します。


 マストドンのインスタンスがコミュニティ化されるということは、それだけ内部でしか情報が共有されなくなり、拡散性という面においてはTwitterとは一歩劣るものとならざるを得ない、という閉鎖性もまた意味します。


 ユーザー数の多さも圧倒的ですし、Twitterの優位性は少なくとも数年は覆らないとみてます。宣伝や情報の収集については間違いなくTwitterの方に分があるといえるでしょう。


 長年の運営で培われた公共性や、社会からの信頼性はそう簡単に崩れやしません。一部で大騒ぎとなった凍結騒ぎなんて知らないよ、という人々もまたごく普通に利用しているであろうことを考えれば、中央集権的な運営であることに逆に安心感を得る方々も少なからず存在する、いやそれどころかほぼ全てのユーザーがそうであることも想像に難くありません。


 逆説的な言い方かもしれませんが、「脱中央集権型」といわれるマストドンは、比較されるべき中央集権型の既存の大型サービスと共存してこそ価値が高まるのではないでしょうか。

 マストドンが輝きを保つためには、また別の輝きを必要としているのです。


 マストドンが盛り上がった! じゃあTwitterイラネ、と考えてしまうのは早計でしょう。

 少なくとも今しばらくは、Twitterなどの他サービスとの利点を天秤にかけつつ、自分のやりたいこと、見たいことに応じて使い分けしていくという付き合い方が理想であると思います。


 これが、今回マストドンについて書かせていただくにあたってもっとも主張したかった箇所であるといえるかもしれません。



 日本人は用途によって色々なSNSを使い分けることが知られていますが、世界的には一つだけしかSNSを使用しないのが普通で、日本が特異なのだという意見をどこかで目にしたことがあります。


 その真偽はさておくとしても、その使い分ける選択肢として、オタク向けのコミュニティSNSである『Pawoo』が普及してくればいいなあと思う次第です。 

 


 とりあえず、『Twitter』をディスってる、というように捉えられることだけは避けたくて今回書かせていただきました。


 いかがでしたでしょうか?


 『Twitter』が私にとってなくてはならないものとなっています。

 今では『Twitter』での情報収集なしには日々の生活はありえないというほどです。ツイ廃ですね、はい。


 だからこそ日々多くの炎上が起こりともすれば雰囲気が悪くなりがちなこのギスギスした空気も良くなっていって欲しいですし、『Twitter』というサービスそのものが今後も続いていって欲しいと思ってます。


 『Pawoo』と『Twitter』、ともすれば対立しがちな両者も、相互に共存を図るようなよい関係性を築くことができればよいですね。

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