アルファ級襲来!!

第1話


 オレの名前は嘉藤拓海かとうたくみ

 都内某所のアニメーションスタジオで作画監督を務める、新進気鋭のクリエーターだ。


 小・中・高・大・社会人と、真面目に一途に二次元一筋に生きてきたオレが、遂に運命の女に巡りあった。

 出逢った瞬間に恋に落ちた。

 文字通りのフォーリンラブってヤツだ。

 これを運命といわずに、何と呼ぶのかオレは知らない。


 所が彼女は、オレの幼なじみで親友のローリーにお熱と来てる。

 こんな不幸ってあるか?

 友情と愛情の板挟みになり、オレもかなり悩んだよ。



 愛か、友情か、友情か、愛か。



 でも、よくよく考えりゃローリーのヤツにゃ彼女以外に三人も恋人がいる。

 あいつは子供の頃から、天然でプレイボーイだったよな。

 本人にその気がないのに、周りの女が放っておかないんだ。

 なんか特殊なフェロモンでも出してんのかも知れない。

 とにかく、あいつと和弥かずやは女絡みの苦労を知らない。


 和弥は、イケメン。


 ローリーは謎のフェロモン攻撃。


 チビで小デブのオレとは大違いなんだ。

 だから彼女だけは、オレがハートを射止める事にした。

 男の友情?

 そんなもんオレは知らない。

 河童ちゃんの方が大切だろう。



 プルル、プルル⋯⋯



 携帯が鳴った。

 ハンズフリーで取ると、先輩だった。

『もしもし拓海か?』

「お久しぶりですはじめ先輩」

『お前、いまどこにいんの?』

「もうすぐ鳴多なりたですよ」

『あ、そうなの。オレたちもう到着ロビーに着いてるから』

「あ、そうなんスね。分かりました、じゃあ下で待っててください。ダッシュで向かいます」

『拓海くん』

「ああ、瑠璃るり先輩お久しぶり」

 相変わらずきれいな声してんな~

『そんなに急がなくて良いわよ。安全第一でね』

「了解です」

 オレはアクセルを踏み込んだ。



 ♠


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