第4話 胸が重苦しい
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ミーたんの鳴き声が聴こえて、スパッと目が醒めた。
赤鬼さんがいる間どこに隠れていたのか、全く姿を見せなかったのに、気がつくとボクの胸の上に乗ってる。
バスルームを覗くと、案の定赤鬼さんの姿は無い。
あのドデカい金棒も無い。
床に散乱する無数の酒瓶と、バーベキューグリルが赤鬼さんのいた証として残されていた。
「あ~、これを一人で片付けるのか……」
憂鬱な気持ちになったが、管理人の仕事だしな。
ボクは両手で自分の頬を叩いて気合いを入れた。
ラム酒とウォッカの瓶が、それぞれ五十本近くあった。
どんだけ飲んでんの?
ガチャガチャ
と、音を立てながら、片手で空瓶を詰めたケースを運ぶ。
なんか軽いな~
こんなに軽いモノだったかな?
バーベキューグリルを外に出し、油で汚れた床にモップを掛けて・・・
あ、その前に、潰れた椅子と、ソファーを何とかしないと。
って、あれ?
椅子とソファーが無い。
あれ?
あれ?
あれ!?
どこに行った!?
あった。
元に位置に、元の姿で配置されてる。
何が起きたの?
ボクは椅子を手に取ってみた。
間違い無く赤鬼さんが潰した椅子だ。
「あ、これ」
修理が加えてある。
凄い技術で、復元してある。
継ぎ目も見えない程だ。
指先で触れても、古いパーツと新しいパーツの違いが、全く分からない
「なんだ、これ!?」
ソファーを見た。
これもだ、
破れた布も縫ってある。
それも完璧な復元で。
たった一晩で?
どこの誰が、こんな技術持ってんのよ。
あ~、なんか頭がクラクラして来た。
ちょっと一休みしよう。
冷蔵庫からソーマを取り出して・・・
あれ、牛乳が無い。
テーブルの上に置いてたクッキーもだ。
あれ~
夕べ食べたか!?
ウォッカとラム酒のツマミにクッキーを!?
有り得ない。
もう次のお客さんが来たのかな?
「誰か居ますか~」
返事は無い。
シーン
と、静まり返った部屋で、突然携帯の着信音が鳴り響いた。
「うわっ、と」
あれ?
どこに置いたっけ!?
ああ、そうだテレビの前のガラステーブルだ。
「もしもし」
名前も確認せずに出た。
怒鳴り声が聞こえた。
「暁人!! テメエ、いまどこにいやがんだ!!」
師村だった。
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