第127話(攻撃はこちらで)

 こうして俺達は、現れた敵に対して“火力”でごり押しすることに決めた。

 もっとも俺はさらにこの増幅する剣と特殊能力(チート)を使うことにしたが。

 それを口にしないシーナとロゼッタは、俺の特殊能力(チート)を敵に知られることを考えて黙っていてくれるのか……それを話した所で対処もできない気がする。


 ……ちなみにシーナとロゼッタはすごく好戦的な顔で今は楽しそうな顔をしているのを見ると、これからの本気で浴びせようと思っている攻撃魔法……それでの戦闘に意識がいっていて、考えていないのかもしれない。

 とても頼もしい。

 そう俺は若干気おされながらも思っているとマサトが俺に、


「攻撃はそちらにある程度任せられるのか? 俺は強力な魔法も使えるが、種類が少ない。その攻撃の魔法代わりに、俺の特殊能力(チート)を使って認識をそらして、こちらに攻撃できないようにする」

「そんなことができるのか」

「出来るが、流れ弾やよほど下手な魔法では当たるから、完全には信頼しきらないでくれ」

「わかった。こちらに攻撃が来ないと思うだけで気力がわいてくる。でも相手の攻撃が当たらずこちらから攻撃できるって、無敵じゃないのか? なんで“弱い”扱いなんだ?」

「どんなの特殊能力(チート)でも使い方次第で変わるってことが分からないんだろう? 人間は固定概念に縛られる生き物だから」


 皮肉っぽくマサトが言って笑う。

 それを聞きながら、そうだなと俺が答えた所で……四角い魔物と、クマのような魔物が現れたのだった。








 俺たちの背後から壁を壊して現れた魔物に、真っ先に攻撃を仕掛けたのはシーナとロゼッタだった。

 二人同時の息の合った攻撃。

 俺はすぐに後を追う。


 二人はクマ型の魔物数体に目をつけて攻撃を開始する。


「“狂える雷”」

「“荒涼たる氷河”」


 そういって雷と氷の攻撃を加えていく。

 それだけで上半身が一瞬で吹き飛んだ。

 攻撃が当たらず呪文を唱える時間があるからとはいえ、こちらの余裕は覆りそうにはない。


 何しろシーナとロゼッタの二人でこれだけ簡単に敵を倒せているのだ。

 そんなロゼッタやシーナに少しでも援護しようと、セレンや、マサトの……友人たちが攻撃している。

 もちろん、敵であるあいつの様子見ながらだ。


 相変わらず余裕の笑みを浮かべている敵をちらりと俺は確認してから、ざわざわと奇妙な音を出すその怪物の出現に備えたのだった。




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あとがき

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