第128話(反撃)

 耳障りなざわめきのような音。

 防御力が高く、この世界の人間には戦うのは大変なそれではあるが、俺の特殊能力を使えば、そこまで苦労せずに倒せる。

 なのに敵は余裕の様子を見せているのはなぜだろうか?

 

 先ほど箱型の怪物を十体以上は倒して見せたはずだが、と俺は思っていると笑い声が聞こえた。


「せいぜい頑張りたまえ。先ほど十数匹を一瞬で倒されてしまったから、衝撃を受けてしまったが……そこにいるクマのような魔物はそこそこいて、その四角い私の下僕達は、1万体いるからな」

「なんですって! 私達の時は千体程度だったのに」


 衝撃を受けたようにロゼッタが叫ぶが、その声は敵を“勝利の予感”に酔わせるだけのようだった。


「そうだろう? 愚かなことだ。あれからあの程度では退けられてしまうと思い、更に量産しておいたのだ。まさか使う機会がこんな早く来るとは思わなかったが、準備はきちんとしておくものだな」


 と言い出した。

 どうやら物量的な面でも俺達を倒せると確信しているらしい。

 そこで敵が、


「それでどうする? 我が配下となり、支配されれば殺さずにおいてもいいぞ? 異世界人に、姫君達。君たちの美貌も含めて、いくらでも使いようがあるからな」

「自分の意志で動けずに道具のように使われる何てお断りよ。そして、一つ貴方は間違えているわ」


 そこでシーナが目の前のクマのような魔物を倒しながら振り返る。

 ちらりと俺の方を挑戦的に見てから、


「“私の”異世界人であるアキラは、貴方が思っている以上強いわ。短いけれど一緒に行動して、信頼できる人物だと私は分かっている。……アキラ、もちろん全部倒してくれるわよね?」

「全部人任せなのはどうなんだと思うが……ご期待答えないと俺もやられてしまうな」

「私のお願いを聞いてくれる、でいいでしょう? そういった言葉がすぐ出るようになれば、女の子にモテモテよ?」

「そうか、今度はそうする!」


 そう俺は返して、現れた今までは一番多い、大量の四角い魔物に向かって魔法を使い剣をふるう。

 それでも壁が吹き飛ばされている関係上、そこから取りこぼした敵が入り込んでくる。

 けれど、それが俺達の方にはなぜか移動することなく、その取りこぼしの怪物は、次々と先ほどの熊のような魔物と戦っていたシーナとロゼッタ、セレンと、マサト達が攻撃してどうにか倒していたのだった。




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あとがき

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