第110話(この階だけ違う)

 実験段階なので稼働するか分かりませんといった文言のあたりごと、俺の剣で切り裂いた。

 もちろん“効率チート”を使って、だ。

 そうしないと、この道具の効果で……何が起こるか分からない。


 再び甲高い音がして粒の形になった“操作の樹”が周りに散らばる。

 パラパラと軽い音がしてそれらは周りに散らばった。

 そんな軽やかな音を聞きながら振り返ると、セレンがようやく安堵した表情をする。


 音がすべて消えたのだろう。

 とりあえずはこの城のメイドたちを操る音は処理済みだ。

 後は何が残っているかというと、


「メイドたちはこれで正気に戻るだろう。あとは立方体の怪物か。ここの上いくつくらいに仕込んでいるんだろうな」

「さあ、でも上の階に行って話を聞くのは初めから決めているから、上の階に行って遭遇したら倒せばいいわ」

「そうか。そうだよな……急ごう」


 そう俺たちは話して、さらに上の階を目指したのだった。










 一つ上の階で再び立方体形の魔物と遭遇する。

 それらを俺たちは倒して探すも人影はどこにもない。

 そういえば戦闘に従事した兵士たちはどこに行ってしまったのだろう?


 そこそこの人数がいるだろうが……この城がそこまでの人数を許容できないから別の場所にいたりするのだろうか?

 他にも王族達もどこにいるのだろう?

 そう俺は思いながらさらに上の階を目指す。


 その階はどことなく雰囲気が違っていた。

 大きめの部屋があるらしく、大きな扉がある。

 そしてそこのドアの前にメイドたちらしきものが倒れている。


 しかも一緒に四角い形の怪物も走り回っているのだ。

 その四角い怪物は倒れていたメイドを襲っていない。

 操るため用の何かを感じ取って、それを避けているのかもしれない。


 とはいえここまで厳重なのは何か理由があるのだろう。

 早く探そう、そう思いながらここにいる四角い怪物たちを倒していく。

 それからその扉に近づくと、外から念入りに板などが渡されて打たれている。


 その板にも何か魔法のようなものがかけられていて、それがどんな効果があるかは俺にはわからなかったが、それを見たロゼッタが、


「魔法効果と、力での攻撃が無効化される、それをつけて出れないようにしているのね。……というか、この階だけ、窓の外にもあの箱型の魔物がいるわ」


 ロゼッタの指摘に俺が窓の外を見ると、ちょうど、四角いの怪物が走り回っているのが見えたのだった。




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あとがき

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