第81話 何かわかったのか
紫色のガラスに触れると同時に、それまで静かで俺達と関わりを持たないようにしていたらしい村人たちが、一斉に外に出て俺達の方に武器などを持ちながら現れた。
どうやらこの、“操っている”装置に関して何かをすると彼らが攻撃をしてくるらしい。
らんらんと輝く目が俺達を見ている。
とりあえず俺はロゼッタに、
「今ので何かわかったか?」
「……音を出して指示を出している、くらいの事しか分からなかったわ。……しかもこっちの防護や偽装を打ち破って反応されたし。やはり異世界人の特殊能力(チート)で作られた道具は、凶悪になるわね……早く私達も力を蓄えないと。以前よりも変わった能力が増えているようだし」
ロゼッタがそう呟く。
確かに俺達の持つこの能力はこの世界では異質で危険だ。
それに対抗できる力がロゼッタ達は“欲しい”のかもしれない。
特殊能力(チート)に対抗できる能力が。
それに俺だっていつまでこの世界にいるのかは分からない。
その力がなくなった時にどうするのか、それもロゼッタ達は考えているのかもしれない。
だがこの現状では、幾つもの側面から調べてこう言った物だろうと見当をつけるらしく、音で指令を出している以外は分からなそうだった。
そうなってくると、
「“ステータス・オープン”する。もうすでに、これに気づかれているようだから、やっても構わないだろう」
そう言って、俺は、その紫のガラスに力を使う。
「“ステータス・オープン”……“操作の樹”、特定の状況に対して特定の音を発することにより一度に集団を操ることができる。その音は、普通の人間には聞こえない領域の音を使用することにより、気づかれにくい。ただし音の広がる範囲のみ効果があり。……だからこの村の村人は村から“出ない”ようにされて、操られている?」
俺は書いてある情報の一部を読み取って推測を立てた。
そこで村人の一人が襲い掛かってくる。
シーナが相手をするが、
「魔法を使っている人もいるけれどそこまで魔力は強くないのに、やけに力が強いわ」
「……普段は制御している力を、操っている関係で全開にしているとか。火事場の馬鹿力のような」
シーナの言葉に俺も反応しながら、あの力を増幅する件で持って魔法を使い、吹き飛ばす。
人間相手だから力の加減について、神経を使う。
だが、そういったそこそこ痛めつけて退けさせる、という方法は“洗脳”の関係で、すぐに彼らは立ち上がり攻撃に向かってきたのだった。
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