第73話 次の日
こうして俺は、女の子三人に勝利すべく必死になったものの倒され、そのままシーナが、
「折角だからアキラをベッドに引きずり込みましょう! 戦利品よ!」
「「いえーい」」
というようなその場のノリで三人のベッドに引きずり込まれそうになり俺は慌てて逃げ出し、その夜は一人で穏やかな睡眠をとった。
疲労のせいか何の夢も見ずにぐっすりと眠った。
そして次の日。
部屋の扉を何度もたたく音とシーナの声が聞こえた。
「アキラ、起きて。行くわよ」
「! 今起きました!」
「まだ寝ていたの? 先に食事をしているからすぐ支度をしてね」
それに俺は、二度寝をしたいなと思いながら背伸びをして着替え始める。
可愛い女の子の声で目覚まし……字にすると確かにそうだが、現実はこんなものである。
「さて、着替えるか。後は剣やらなにやら荷物の準備は……朝食の後ででいいか」
俺はそう呟き、服を着替え始めたのだった。
本日の朝食は、この宿で作った自家製ベーコンと飼っている鳥の卵を焼いたものと、野菜スープにパンだった。
自家製ベーコンは程よい厚さと塩加減で、スパイスの香りとスモークの香りが魅力的な一品だった。
ここの宿は料理が上手いようだ。
「……帰りも寄りましょうか」
そうシーナがそう言い出したので俺達も頷く。
それから昼食と、ちょっとした保存食としてここ自家製の燻製を少量購入しその宿を後にする。
相変わらずのかあり映えのしない土の道。
特に天気も悪くないのは幸いだった。
そこで俺はある事に気づいた。
「シーナ、こういった道を歩いていて魔物には遭遇しないのか?」
「……人通りの激しい街道は、それだけ冒険者やら道の整備やらで、魔物も討伐されやすかったりするけれど……ここしばらくこの道を使っている人間がそれほど多くないはずなのに、こんなに出てこないのは妙といえば妙ね」
「魔物は簡単に増えたりするのか?」
「場合によるわ。魔力の影響を受けやすいから……おかしな現象が起こっていない限り、そんなに簡単に増えるはずはないけれど」
「そうなると、特定の場所に集められている……そういった事はないのか?」
「どういう意味?」
「先ほどの町の方に魔物が集められている」
「……あそこの町か。……私の城にも近いのよね。そちらも考えてあそこに集めている?」
シーナはそう呟くがそれ以上答えは出ず、そこで、遠くの方に民家らしきものが見えてきたのだった。
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