第72話 枕投げ
色々と大変な話をしていて疲れたのでシーナは話を変えたようだ。
「話はここまで。そろそろ寝ましょう。疲れたし」
そうシーナが話とロゼッタが思い出したように、
「そうね。そういえば枕投げをすると話していたかしら」
「していたわ。セレンも覚えているわよね?」
「は、はい」
ロゼッタの言葉にシーナが頷いて、セレンに話を振ると頷く。
女の子同士で枕投げか。
なんか羨ましいが、今日は俺もつかれたし寝ようと俺が思っているとそこでロゼッタが俺の方を見て、にやりと笑った。
悪戯を思いついたような笑顔である。
すぐにシーナたちの方も見て、ロゼッタの意図が分かったらしくシーナたちも頷く。
何をする気だろう?
そう俺が思っているとロゼッタがそこで俺の方に歩みより、腕をつかんだ。
しかも次々とシーナやセレンに腕などを掴まれて、シーナが、
「「「折角だからアキラも参加させましょう。その方が楽しそうだわ」」」
俺が何かを言う前に、俺はシーナとロゼッタ、セレンの三人に部屋に連れ込まれて、枕投げをさせられそうになったのだった。
女の子の部屋に俺一人の状況。
しかも枕は四つほどある。
なぜか一個余分だったらしいが、それはいいとして。
「俺は三対一で戦うのか?」
そう何気なく問いかけてしまったのは俺のミスだった。
すると他の三人は動きを止めて、目くばせし、そしてシーナが、
「それなら好きな女の子をアキラは選べばいいわ」
「わかっ……え?」
そこで俺は嫌な予感がして沈黙する。
これは、誰かを選んだ時点で角が立つ展開ではと思っているとロゼッタが、
「誰を選べばいいのかの判断材料が必要のようね。そうね……私を選びなさい。魔族の王の娘、贅沢をさせてあげるわ。そう、“富”よ」
次にシーナが、
「戦力的な意味ならあたしがいいわよね、“勝利”出来るもの」
そして最後にセレンが、
「わ、私は……“私”を上げちゃいます!」
「「ええ!」」
ロゼッタとシーナが声を上げるが確かにセレンは美少女、だが。
その昔ギリシャ神話で、誰が一番美しい女神かを争わせるよう林檎を送られ、主神であるゼウスはとある人間の男に、その件を丸投げして逃げた話があったが……。
この三つの選択肢、どれを選んでも地雷。
というかすでに枕投げの話じゃなくなっている。
俺はなくなく一人を選択し、一方的に倒されてしまう。
三対一という、多数に対して一人で立ち向かう怪人か何かの気持ちを理解した俺は、その日遊び疲れて部屋で一人で眠った。
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