第14話 悪党に絡まれる

 この町は木で作られた家が多い。

 西洋風の木組みの家が連なっている。

 周りが森に囲まれているからだろうか?


 ただ地面には石が敷かれている。

 そして俺たちは大きな通りを歩いていた。


「人が結構多いな。商店街だからか?」

「でしょうね。……でも出店が多いから、今日は特に店の多い日といったものがあるのかも」

「そうなのか。特定の日にバザーみたいなのがあるのか」


 などと思いながら周りを見回しているとシーナが、


「それで方向はあっているの?」

「あっているみたいだ。……ここの路地を曲がるほうが良さそうだ」

「気を付けてね、人気のない場所は、面倒ごとに巻き込まれやすい」


 といったシーナの注意を聞きながら歩いていくと、途中分岐する道に遭遇してしまう。

 こちらの方が近そうだなと思って移動すると行き止まりだった。

 運が悪いと思って引き返そうとすると、目の前にはガラの悪い三人組の姿が。


「また馬鹿が引っ掛かってこんな場所に来たぞ」

「痛い目にあいたくなきゃ、金を置いていきな」

「兄貴はこの辺りでは恐れられている……」


 などなど、悪人の言うような言葉をはなつ三人組。

 悪役にも個性が必要かもしれないが、よくよく考えると個性を放てるだけの頭がないのかもしれないと俺は気づいた。

 だから誰かから奪うことしかできないのかもしれない。


 そこで殴りかかってきたそのガラの悪い人物の一人。

 三人のうちの一人で、一番背が低いように見えたが、それがまず俺の方に襲い掛かり……俺は選択科目の柔道の技を駆使して、後ろに放り投げた。


「うわぁああああ……ぐふっ」


 地面に男が落ちる音がして、呻き声がしたかと思うと何も聞こえなくなった。

 とりあえずはまず一人、と俺は思いつつ、


「ふう、驚いた、いきなり何をするんだ」

「な、なんだお前……武術の使い手か。だったら、これを使う」


 そう言って目の前の二人がナイフを取り出した。

 ギラリと輝くそれを見ながら俺は、


「魔法は使わないのか?」

「魔法? そんなもの普通のやつが相手を吹き飛ばせるくらい使えるわけないだろうが!」


 と説明してくれた。

 どうやら普通はそこまで強力な魔法は使えないらしい。となると、


「俺がさっき見た魔法の威力低い版で……“氷の雨”」


 目の前に手をかざし、使いたいと念じた。

 青白い魔法陣が、この賊二人の足元に浮かんで凍り付く。


「ひいいいいっ」

「ま、待ってくれぇええええ」


 少し足が凍っただけで、その二人は仲間を置いて逃げて行ったのだった。


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