第13話 “概念”で“チート”を使う

 しばらく歩いて行く俺たちは街を一望できる小高い丘までやってきた。

 ここからだんだんに下っていくと町には入れるらしい。

 日の沈む前にここまでこれたのは良かったように思う。


 だがここで俺はさっそく、“効率チート”を使ってみることにした。


「……どうすればいいか。まずは宿の値段表からそこまで高くなく、どちらかというと安くて清潔な宿……それも空きがある場所へ最短ルートを……光の矢印で示してください」


 なぜか丁寧語になってしまった俺だが、すると俺の足元から小さな一辺が10センチ程度の正方形である光が、町の方にとんでいく。

 そうかと思うとすぐに俺の足元に戻ってきて、そのまま右の手のひらに矢印が浮かぶ。

 どうやらこちらに行けという意味のようだ。


 ただこの形だと道に沿った形ではなく、方角を指示しているだけらしい。


「どうやらこの矢印の方角に向かって行けばいい宿に着くらしい。とりあえず行ってみよう」

「……だが一時的にそれは消せないか?」

「え? なんで?」

「検問を突破しないといけないから。偽造の書類もあるからそれで入ってもいいけれど、アキラ、貴方の場合はギルドカードを作るべき」

「? そうなのか?」

「ええ。異世界人としてなら違和感なくギルドで登録できて、入用の時はお金も稼げる。もしもの事があっても、異世界人であれば……都合よく事が運べる。場合によるけれど」


 とのことだった。

 そのシーナの話を聞きながら、確かにギルドカードなるものは作った方がいいかもと思った。

 俺のラノベ等の知識では、カード状のもので、能力のデータがはかれたような気がする。


 俺の“ステータス・オープン”と勝負! などと思っていると町の入口の検問のような場所にやってくる。

 そこでシーナは身分証のようなものを見せたが、俺の番になると、


「この人は異世界人。だから、まだ身分証がないの」

「……一応確認させていただいてもよろしいでしょうか。“ステータス・オープン”をして頂けますか? 魔力と体力の表示だけでもよろしいですので」


 とのことで、実は呼び出せる内容が結構自由度が高いことが判明した。

 後で色々とやってみようと俺は思いつつ体力などの表示を見せて、異世界人だと納得してもらう。

 それから町に入り早速、先程使った“効率チート”に目的のものがある方向を示す矢印を呼び出し、町の中を歩きだしたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る