第1話 ギルド長とスキルの説明
オーガ戦から1週間が過ぎたころ、俺はギルドに呼び出されていた。
今までNPCに呼び出された事は無かったんだけど、何かやったかな?
ギルド職員は運営だという噂もあるので無視する訳にもいかず、俺は渋々冒険者ギルドへと向かった。
「正弘さんですね。お待ちしておりました」
「そりゃどうも」
ギルドに入ると受付嬢に奥の方へと案内される。
「こちらにお入りください」
案内された先の扉を開けるとそこにはガランとマーシー、つばさの3人が居心地悪そうに座っているのが見えた。奥の方には山賊風のオッサンが葉巻を咥えて寛いでいる。
「おぅ、揃ったな。俺はギルド長のブッチャーだ。よろしく」
「はぁ、よろしくお願いします?」
山賊風のギルド長から椅子に座るように促されたので、取り合えずつばさの隣に座る。俺以外の3人も呼ばれた理由は知らされていないようで不安そうな顔をしていた。
「さて、お前たちを呼んだのはクエストクリアの報酬を渡すためだ」
ギルド長の言葉は俺の予想と違っていた。
怒られると思っていたのになんか貰えるらしい。
「クエストクリアって俺たち何かやりましたっけ?」
「実は大森林に出たオーガは突発クエストのイベントモンスターでな。お前らが倒したんだろ?」
ギルド長はそう言うと俺達に向かってネームタグの様な物を渡してきた。
渡されたネームタグは名刺サイズの大きさで、それぞれに自分の名前が彫り込まれている。
「それは明日から配布される事になるギルドカードってアイテムだ」
「ギルドカード?」
つばさがバカっぽくオウム返ししている。ははっ、バカだなぁ。
鼻で笑ったらつばさに太ももを抓られた。解せぬ。
「本当は明日からの配布なんだがお前たちには特別にな」
ギルド長が言うには明日からこの世界に色々と新要素が追加されるらしい。
ギルドカードはそれに関係するアイテムなんだそうだ。
「しかも嬉しい事にスキルシステムが実装されることになってな! どうだ、楽しみだろう!?」
「いや、そう言われても。俺たちスキルシステムが何なのか分かってないですし」
このギルド長はダメだ。なんか脳筋の匂いがする。
俺が呆れた視線を向けているとギルド長は豪快に笑いながら立ち上がった。
「そう慌てるな。いま説明してやるから」
自信満々なギルド長の分かりにくい説明を自分なりに噛み砕いていくと、何でもスキルシステムとは戦闘や生産を補助するシステムの事で、スキルを取得するとそれに関係した知識がインストールされるようになっているらしい。
スキルの総数は万を超えていて、俺達の行動次第で覚えられるスキルは増えていくんだとか。
「スキルを覚えるにはスキルポイントが必要だ。今回の報酬はそのスキルポイントになる。スキルを成長させるのは難しいが、行動によって追加されるスキルもあるから色々試してみてくれ」
スキルポイントはギルドクエストやモンスターの討伐、ダンジョンの踏破などで手に入るみたいだ。あとスキルにはレベルがあって、所持しているスキルに適した行動をとる事でそのスキルのレベルを上げる事が出来るんだとか。
例えば剣道のスキルを取ったとする。そうすると初めは初段相当の知識を手に入れる事が出来て、その知識を参考に練習を続けていけばレベルが上がって更に上位の知識を得ることが出来るらしい。
「成長しないスキルや肉体に直接影響があるスキルもあるが、そこら辺は自分達で探してみてくれ」
次にギルド長はギルドカードの裏面を見せてきた。
そこには大きく0pと表示されている。
「カードの裏側には現在のスキルポイントが表示されている。お前らのカードには5pと表示されているはずだ。」
カードの裏側を見てみると確かに5pと表示されている。
数字を指でなぞってみると正方形のウインドウが出てきた。
「表示されているポイントに触ると覚えられるスキルの一覧が出てくるぞ。因みに他の人にもそのウインドウは見えるから、スキルを取得する時は人目のないところでやったほうが良いかもな」
俺達以外の人は0pからのスタートになるそうだ。
これは結構なスタートダッシュじゃないか?
ウインドウの消し方が分からずに慌てながら俺はそんな事を考えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます