2 進む世界

アップデート


 突発クエスト【巨鬼の襲来】のクリアを確認………


 開拓システムを開放します。

 新エリア【未開拓地1~8】を開放します。


 ワールドクエスト【逆境を覆し者達】条件達成を確認………


 モンスターAIを2段階向上させます。

 スキルシステムを開放します。

 ギルドカードシステムを開放します。


・・・


 私はパソコンに表示されたメッセージを見て、思ったよりも早いクエストのクリアに驚いていた。

 しかし、突発クエストはクリアされると思っていたが、ワールドクエストの条件を満たすとは思わなかったな。


 「おいおい、凄いなこれ」

 「ビックリしますよね。今回で半分くらいまで減ると思ってたのに……」


 私の隣の席にいる後輩が笑いながら話しかけてきた。

 不謹慎だが私も同じように考えていたので何も言えないな。


 「まぁ、古株には武術の達人とかもいるんだろう? そういう人がオーガを見つけて倒してしまったんじゃないか?」

 「情報だと討伐に関わった人数は4人ですね。しかもオーガを倒した1人はリアルに10歳の少女ですって。ほら、最近交通事故で死んだあの子」


 後輩の言葉に私は動きを止めた。その子の事は私も覚えている。

 確か両親が応募してきたんだったか。少女が生前にCMを見てここがいいと言っていたとか。まだ若かったから良く覚えてるよ。


 「あの子がねぇ。凄いじゃないか」

 「まぁ、他の3人が凄かったんでしょうね」

 「それでも、だよ。まだ10歳の少女に出来る事とは思えない」


 これだからシステムエンジニアは止められない。

 作られた存在であるNPCとは違って、リアルの人間と言うのはやはり予想外の結果を起こすものだ。


 この世界は死後の世界として設計されたものだったが、これでどうなるか分からなくなってきたかもしれないな。


 「面白くなってきたじゃないか」


 私は彼らに感謝をした後自分の仕事に戻るのだった。

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