第350話 委員長ルート「調理実習」


「今日は調理実習で皆さんにクッキーを作ってもらいます♪ 各自班ごとに別れてレシピ通りに作ってくださいね~」


「「「はーい!」」」


(調理実習ね……。わたしって料理はあまりしてこなかったのだけど、大丈夫かしら?

 でも、今心配するべきなのはそんなことでは無くて同じ班のメンバーが――)


「私と同じ班なのは委員長とモモね。二人とも宜しくね♪」

「わーい! サクラと同じだー♪ 委員長も宜しくねー♪」

「え、ええ……」


(まさか、このクラスでも一、二を争う人気者の二人ってことね……。特に朝倉さんはクラスどころか去年のミスコンで優勝して『学校一の美少女』とまで言われているほど人気者だし……ちょっと、このメンバーだとわたしだけ場違い感凄くないかしら?)


「…………」 


(まぁ、だけど……) チラリ


「おっしゃあああああ! 調理実習だぜ! この山田様が最高のクッキーを作ってやるぜええええええええええ!」

「ウェーイ!」

「班のメンバーが山田と沢渡とか終わった……」


(安藤くんにくらべたら、百倍マシね……。)


「朝倉さん、桃井さん、二人とも宜しくね」


(あまり、お菓子作りに自信はないけど……せめて、この二人の足は引っ張らないようにしたいわね。それに、先生もクッキーなら簡単だって説明していたし大丈夫でしょう)


「まずはボウルにバターを入れて、粉糖と塩を加えて泡が立つまで混ぜるみたいね♪」

「うーん……。ねぇ、サクラ? 砂糖と塩の量はこれくらいでいいのかなー?」

「モモ、少し見せてもらうわね。ええ、これくらいで大丈夫よ。委員長の方はどう――」


「砂糖と塩ね……てりゃ!」 どばーっ! ← 大量の砂糖と塩がぶち込まれる音


「「あ……(察し)」」 ← なにかを察した朝倉さんと桃井さん


「……ん? 朝倉さん、何か言ったかしら?」

「い、いいえ……何でもないわ。ウフフ……♪」


「ちょ、ちょっと、サクラ……委員長のアレ、大丈夫なのかなー?」

「モモ、まだ委員長のアレが終ったと決めつけるのは早いわ……。それに、委員長のアレが失敗しても各自で自分の分だけを作っているおかげで、私とモモのクッキーは安全よ」

「そ、そうだよね……。最悪の場合でも犠牲になるのは作った委員長だけだもんねー♪」


「さぁ、委員長! クッキー作りを続けましょう! ウフフ……♪」


(委員長、ゴメンね? クッキーを作り直そうにも材料がギリギリしかないし……そもそも、残りの砂糖と塩を委員長が全部入れちゃうなんて思わなかったのよ……)


 そして、数分後……


「ふぅ……これで、後は冷蔵庫で休ませてから、オーブンで焼いて終わりね♪」

「クッキー焼けるの楽しみだねー♪」

「クフフ……そうね♪ わたしもクッキーを作るのは初めてだったけど、ちゃんとできているか楽しみだわ」


(それに、料理は得意じゃないけど今回の料理実習はなかなか上手くできた気がするのよね。朝倉さんと桃井さんのおかげかしら?)


「「そ、そうだね……」」


((委員長のクッキー……ちゃんとできているといいな……))


「そう言えば、作ったクッキーは持ち帰れるらしいけど、サクラと委員長は誰かにあげたりするのかなー? 因みに、あたしは部活の皆で食べるつもりだよー♪」

「ウフフ、私は部活には入ってないから、家に帰ってママとパパにあげるつもりよ♪ 

 委員長は誰かにあげたりするのかしら?」

「そ、そうね。わたしは……」


(まぁ、あげる相手がいないわけでもないのだけど――) チラッ


「安藤はクッキー誰かにあげたりするのか?」

「ウェーイ!」

「俺? 俺は……妹にでもあげるかなぁ……」


(……イラッ!)


「……そうね。自分で全部食べるわ」


(フン! 安藤くんなんかに分けてあげないんだから!)


「アハハ、そうなんだー」

「全部、食べるのね……」


((あれを自分で食べるんだ……))


「そろそろ、良い時間ね。後はクッキーを型抜きしてオーブンで焼いたら完成ね♪」 スカッ! スカッ! ← クッキーを型抜きする音です

「うーん、どんな形にするか迷っちゃうよねー♪」 メロ~ン♪ メロ~ン♪ ← クッキーを型抜きする音だってば!

「…………」


(型抜きね……。さて、どんな形にしようかしら? 一応、☆型や□に○や(株)型とか、いろんな形の型抜きがあるけど……)


「ん? これは……『♡』の形もあるのね……」


(いやいやいやいや! 流石にこれは無いでしょう? だって『♡』よ? いくらなんでもこんなのわたしのキャラじゃないし……それに、こんなのを安藤くんに渡せるわけ――って、何でわたしってば、安藤くんに渡す前提で考えているのよ! あの男もどうやら、わたしにクッキーを渡す気は無いみたいだし、わたしが安藤くんにあげる必要性も無いじゃない! なら、これは自分用なんだから、別に『♡』の形にしたっていいわよね? ええ、だって『自分用』ですもの……)


「そ、そうよ……。別に、この形に深い意味は――」

「ウフフ♪ 委員長はどんな形にしたのかしら?」

「ぬあぁああああああああああああああああああああ!」 ビッグバァアアーーン!! ← 委員長が『♡』型のクッキーを叩き潰した音

「えぇええええええええええええええええええ!? 委員長! 何してるのぉおおおおおおおおおおおおおお!?」


(委員長に声をかけたら、何故か委員長が自分のクッキーを叩き潰したのだけど!?)


「あ、あら、ごめんなさい……。朝倉さん、少し手が滑ったわ。クフフ……♪」

「そ、そうなのね……」


(でも、さっき見えた委員長のクッキー。一瞬だけハートの形に見えたような……見間違いかしら?)




「皆、クッキーが焼けたわよ♪」

「わーい! ついに完成だねー」


((でも、委員長のクッキーだけ叩き潰したような形で、凄い見た目なんだけど……))


「やっぱり、わたしのクッキーだけ変……よね?」

「わ、私は委員長のクッキーも素敵だと思うわよ……♪」

「う、うん! 独創的な形だよねー?」

「そうかしら……? 二人ともありがとう♪ そうよね。見た目はアレでも味が良ければ大丈夫よね……」

「「う、うん……」」



『砂糖と塩ね……てりゃ!』 どばーっ! ← 大量の砂糖と塩がぶち込まれる音



((残念ながら、味も良いとは保証できない……))


「委員長、そっちの班はクッキーどんな感じよ?」

「あ、安藤くん!? いや、その、わたしは……」


(何で安藤くんがこっちの班に! てか、それはわたしの焼いたクッキー……)


「うげっ!? 何だこのせんべいみたいなクッキーは……え? もしかして、委員長が作ったクッキーって……これ?」

「え、ええ……そうだけど、何か文句でもあるのかしら? いい、安藤くん。大事なのは見た目じゃなくて『味』なのよ! だから、ほら……た、食べてみなさいな!」

「じゃあ、一口味見を……」 パクリ


(うーん……何これ? 辛いような……甘いような? てか、砂糖と塩入れ過ぎてね?)


「……ど、どうよ? 何か感想くらい言えないのかしら……?」

「委員長……これ、俺達の班が作ったクッキーな?」

「何よ? 今はわたしが作ったクッキーの感想を――」

「いいから、食ってみろ……」

「分かったわよ。仕方ないわね……」 パクリ


(あら、安藤くんの癖に意外と美味しいわね……)


「そして、これが委員長のクッキーな?」

「どれどれ……」 パクリ


(……うっ! ふ、普通に不味いわね……。てか、わたしあのメンツのクッキーに負けたの!? く、屈辱だわ……)


「こんなクッキー捨てようかしら……」

「なら、委員長。そのクッキー俺が食うよ」

「……え? 安藤くん、何を言っているのよ? だって、これは……」

「まぁ、確かに不味いよ。でも、食えないことは無いし……せっかく、委員長が作ったクッキーなんだから……捨てるのは『もったいない』だろ?」

「そ、そうね……。確かに、安藤くんの言う通り……捨てるのは『もったいない』わね」

「じゃあ、そう言うことで……このクッキーは俺がもらうから、委員長には俺が作ったクッキーを代わりにやるよ……」

「そ、そう? まぁ、わたしは別にどうでもいいのだけど……一応、貰っておくわ」

「おう……じゃあ、また放課後な……」

「ええ、放課後ね……」


((まったく、素直じゃないんだから……))


「あらあら……ウフフ♪」

「あれれー? 委員長ー?」


(――ハッ!? そう言えば、この二人がいるのを忘れていたわ……)


「な、何かしら……朝倉さん、桃井さん?」

「ウフフ♪ 委員長、何でもないのよ? 何でもないのだけど……」

「もしかして、委員長と安藤くんって……『そういう関係』なのかなー?」

「さ、さぁ……? そ、それは……二人の想像に任せるわ!」

「あらあら……委員長、それは認めているのと同じなんじゃないかしら? ウフフ♪」

「まさか、あの委員長にこんなスキャンダルがあるなんてねー♪」

「『じゃあ、また放課後な……』ですって、モモ?」

「『ええ、放課後ね……』だってー、サクラ?」


「「へぇー、委員長がねぇー?」」 ニヤニヤ


「朝倉さん、桃井さん!? そ、そんなことより! さっさと、片づけをするわよ!?」


(今度から、ちゃんと料理勉強しようかしら……)






【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう。4巻の表紙を飾った委員長よ♪

 もちろん、皆はわたしが大活躍(予定)する4巻は買ってくれるわよね? クフフ……♪

 さーて、次回の『何故かの』は♪」


次回 委員長ルート「サイズ問題」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。

 皆、出す手は決まったかしら? 今日は『パー』を出すかもしれないわよ……?


 ペタペタ・ペタりん♪


   じゃん・けん・ポン♪」 



























【パー】



「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」

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