第349話 委員長ルート「おっぱいとデリカシー」



「じゃあ、これが最後の確認よ。まだどの委員会にも入ってない人で、図書委員に立候補してくれる人はいないかしら?」


「委員長、俺で良ければ図書委員に立候補するよ」



 そして、一年後――



(安藤くんが図書委員になって、もう一年も経つのね……。


 思い返すと、あれから色々あったわね。まさか、このわたしが安藤くんと付き合うなんて……クフフ、当時は思いもしなかったわ♪)



「……なぁ、委員長。図書委員の仕事って何でこんなに暇なの?

 もう、ここまで人が来ないとこの図書委員って俺と委員長の部屋だっけ? って、勘違いしそうになるんだけど……」


(今日、図書室に来たのって図書委員の俺と委員長の二人だけだからね? 普通の利用者ゼロだよ? ゼロ! 一体何処の使い魔だよ……)


「はぁ……何よ。安藤くん、気持ち悪いわよ?」

「彼氏に対する発言が厳しすぎじゃねぇの!?」


(なんだよこの彼女は!? まったく、可愛くねぇな……)


「あら、ゴメンなさい? つい『本音』が漏れてしまったわ。クフフ……♪」

「誰かこの彼女さんに『オブラート』という言葉を教えてくれ……」

「なら、わたしはこの彼氏に『デリカシー』という言葉を覚えさせたいわね」

「……俺って、委員長にそんなデリカシーがないことしてたっけ?」

「回数で言うのなら、一年のカレンダーの日程が全て埋まるくらいには……ね?」

「それって、365日ほぼ毎日じゃねぇか!?」


(つまり、俺達が出会ってから、ほぼ毎日デリカシーの無い発言をしているってこと!?)


「いや……流石に、それは無いだろ?」

「自覚が無いって最低よね……。安藤くんはわたしが彼女で無かったら、とっくに捨てられているわよ?」


(まぁ、それも分かった上で付き合っているわけだけどね……)


「そう言えば、一つ気になってたことがあるんだけどさ……」

「安藤くん、何かしら?」

「委員長って、おっぱい少し大きくなったよね?」


 ズガンッ!! ← 委員長が本の角で安藤くんの頭をブチ抜く音です!


「ぐあぁ~っ! 痛ってぇ……」

「ああ、貴方は……そう言う所がデリカシーが無いって言うのかしら!?」


(というか、何でこの男はそんなことが分かるのよ!? だって、まだ『そういうこと』なんてしてないし、見せてさえも……)


(俺の目視心眼によればサイズが変わるほどではないけど……それでも、普通の『D』が『D+』になるくらいには成長していると思うんだよなぁ……)


「いや、だって……毎日、顔を合わしていれば自分の彼女のおっぱいの成長くらい気づいたって当然だろ!?」

「安藤くん、もう一度叩かれないと理解できないのかしら? クフフ……♪」

「はい! もう言いません!」


(でも、そういう反応をするってことは、やっぱり……)


「まったく、そう言う時だけ彼氏面して付き合っているのを言い訳にするんだから……。

 そこまでいうのなら、もう少し可愛い彼女の手を繋いでデートをエスコートするとか、彼氏らしいことをしたらどうなのかしら?」


(せっかく、付き合っているって言うのに……安藤くんもしてくるのはセクハラ発言くらいで、ボディタッチの一つもできやしないくせにね?)


「いや、だってさ……。なんか、そういう『恋人っぽいこと』って恥ずかしいじゃん……?」

「何でその配慮をセクハラ発言の方に回せないのかしら?」


(まぁ、わたしと安藤くんで『そういう空気』が似合わないのは認めるけどね……)


「さぁ、安藤くん。もう下校時間だから、図書室の戸締りをして帰るわよ」

「結局、今日も図書室の利用者はゼロだったな……」

「クフフ……そうね♪」


(まぁ、わたしはそれでも全然かまわないのだけどね……)


「じゃあ、戸締りもできたし、帰りましょうか?」

「委員長……ん!」

「安藤くん、何をしているのかしら……?」


(何で、手なんか突き出して――ハッ!)


「む、胸を触りたいって言うのなら、まだ早いわよ……!?」

「ちげぇよ! 手だよ『手』! 委員長が言ったんだろ……」

「……え?」


(それって――、


『もう少し可愛い彼女の手を繋いでデートをエスコートするとか、彼氏らしいことをしたらどうなのかしら?』


 つまり、手を繋いで帰ろうってことかしら……?)


「そ、そうね……。じゃあ、エスコートしてもらおうかしら……」

「お、おう……。任せろよ」


(まぁ、そうは言っても、俺にエスコートできるのはいつもの本屋に委員長を連れていくくらいだけどな……)


(まぁ、そうは言っても、安藤くんにできるのはいつもの本屋に連れて行ってくれるくらいでしょうね……?)


「そう言えば、委員長。さっき『まだ早い』って――」

「さぁ、安藤くん! 下校時間はとっくに過ぎているわよ!」

「おーい! 委員長ぉー?」



(言ったよね!? 絶対に言ったよね!? 俺、覚えているからな!?)


(ま、まだって言ったら……とにかく『まだ』なのよ! まったく……)






【次回予告】


「ずっと、わたしのターンよッ!!

 皆、いつも応援してくれてありがとう。ついに、4巻で表紙を飾ることになった皆の委員長よ♪

 さて、一年生編が終って本編に戻ると思ったら大間違いよ! 今回から4巻が発売するまでわたしのターンはまだまだ終わらないのよ! クフフ……♪


 え? 『ここまで委員長が優遇されるって4巻で委員長死ぬの?』って、何をバカなこと言っているのかしら? そんなことあるわけないでしょう?


 さーて、次回の『何故かの』は♪」


次回 委員長ルート「学校一の美少女」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。

 皆、出す手は決まったかしら? 今日は『グーかチョキ』を出すかもしれないわよ……?


 ペタペタ・ペタりん♪


   じゃん・けん・ポン♪」 



























【パー】



「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」

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