第345話 一年生編「嫉妬とか違う何か?」
「今日も安藤くんは、放課後になったら図書室にいるのね……」
「え、何? 委員長は俺が図書室にいたらダメだって言うの?」
(今日もいつも通り、放課後になったから図書室でラノベを読んでただけなのに、なんか後から図書室にやって来た委員長に飽きられながら文句を言われたんだけど……?)
「別に、ダメだとは言わないわよ? でも、安藤くんが当たり前のような顔をして、図書委員のわたしより先に図書室に来てラノベを読んでいるのが少し納得いかないだけよ」
「そりゃあ、俺は委員長と違ってHRが終ったら速攻で図書室に行くからだろ?」
(委員長の場合はクラス委員長をやっているせいでHRの後も先生の手伝いしたり、クラスの奴らに話しかけられたりしているけど、そんなの『ぼっち』の俺には関係ないからな)
「つまり、余計な人間関係が増えるほど、ラノベを読む時間が減るわけだな」 ドヤ!
「ドヤ顔で言っているところ悪いけど、それただ安藤くんが『ぼっち』な理由をドヤ顔で正当化しているだけよ?」
「むしろ『ぼっち』で何が悪いのさ? 実際、俺は現状に何の不満も感じてないからな」
「そんなこと言ってないで、少しは『友達』を作る努力をしたらどうなのかしら?」
「そんなこと言われてもなぁ……。だって、友達って『欲しい』と思って作る物じゃないだろ? 誰かと出会って、こいつと友達に『なりたい』と思ってなるものじゃねぇの?」
「……安藤くんって、変なところで理屈を語るからたちが悪いのよね……」
(むしろ、ロマンチストっていうのかしら? この男って、自分を良く見せようとか偽ろうとしないし、変に真っ直ぐなのよね。まぁ、だからこそ空気を読まないし、周りに関心を向けないから『ぼっち』なんだけどね……。でも、何か『きっかけ』さえあれば少しは周りの安藤くんを見る目が変わるとは思うのだけど……まぁ、そんな機会は当分来ないでしょうね……)
メロメロ~ン♪ ← 図書室のドアが開く音
「サクラ、ここが図書室だってー」
「モモ、図書室では静かにしないとダメよ?」
スカ~ン♪ ← 図書室のドアが閉まる音
「…………」
(誰だ一年生か? 図書室だとあまり見ない顔だな……)
「あら、珍しい二人組ね……」
「委員長、あの二人のこと知っているのか?」
「安藤くん……まさか、あの二人のことを知らないの?」
「え、何か知ってないとヤバいの……?」
(流石に、別のクラスの生徒……だよな? だって、俺あの二人に見覚え無いし……)
「はぁ……その様子だと、本当に知らないのね。安藤くん、あの二人は一年生の中で一番有名な二人よ。朝倉さんと桃井さん、どちらかが今年のミスコンで『学校一の美少女』の座に輝くんじゃないかって、入学当初からもっぱらの噂なのよ?」
「へぇー、学校一の美少女ねぇ……」
(まぁ、確かに言われてみれば二人とも『美少女』って感じだよな……。朝倉さんって人の方はなんだか上品で気品あふれる感じの『正統派美少女』だし、桃井さんって人はおっぱいがすげぇデカいな~)
「一年生であの二人を知らない生徒なんて、安藤くんだけだと思うわよ?」
「そんなこと言われても、俺は『ぼっち』だぞ? 学校の噂なんて、委員長との会話ぐらいでしか聞かないからな。それこそ……
何でもは知らないさ。委員長が知ってることだけだよ。
――って、感じだな」 ドヤ!
(何で、安藤くんの知識の全てがわたしにゆだねられているみたいになっているのよ……)
「さて、委員長。このラノベの続きってもう入荷してる?」
「それなら、この前に入荷してきたから、本棚の方にあるはずよ」
「了解~」
(しかし、朝倉さんと桃井さんか。まぁ、俺みたいな『ぼっち』にはどっちも縁の無い相手だろうな……)
「ねぇ、サクラ。あたし達が明日の授業で使う資料って何だっけ?」
「もう、モモってば忘れたの? 明日の授業は『群馬と古代メソポタミアの関係』が授業内容だから、あらかじめ図書室で『
「あぁ、そうだったねー。なんかタイトルが難しすぎて分かんなくなっちゃったよー。でも、ちゃんと覚えているなんて流石はサクラだよねー♪」
「褒めたって、何もでないんだからね? さぁ、さっさと探しましょう」
「…………」
(なるほど、何しに図書室に来たのかと思ったけど、明日の授業で使う資料をコピーしに来たのか。図書室ってラノベを読むだけの場所じゃなかったんだな……) ← 本来の図書室の使い方に今頃気づいた
「ねぇ、サクラ。ところでその……ぐ、群馬何とかってどこにあるのかなー?」
「モモ『
「さて、ラノベラノベと……」
(お、続きの巻のラノベあった! 委員長の奴、俺がラノベの入荷希望を出すとぐちぐち文句は言って来るんだけど、なんだかんだでちゃんと入荷希望は出してくれるんだよな。
――って、あれ? この隣にある本って……『
「ねぇ、サクラ。見つからないよー?」
「そうね。とりあえず、図書委員の人に聞いてみましょうか?」
「えっと……二人が探している本ってこれかな?」
「え? あー! これだよ。これ! 図書委員さん、見つけてくれてありがとうねー♪」
「え、あ……うん」
(一応、俺は図書委員ではないんだけど……まぁ、いいか)
「ほら、サクラ! 図書委員さんが見つけてくれたよー♪」
「モモ、良かったわね。図書委員さんも見つけれくれてありがとう♪」
「あ、はい……」
(うおっ! ヤベ、なんか朝倉さんの方にも話しかけられたぞ! 普段、こんな美少女に話しかけられる機会なんてないから、メッチャ緊張するんだけど……)
(フォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!? あああ、あの図書委員の子が持っている本ってラノベじゃないのよぉおおおおおおおおおお!?
も、もしかして、この子もラノベが好きだったりするのかしら……? でも、普通に図書委員の仕事で棚に戻す途中かもしれないわよね。でも、ラノベが置いてあるなんて、この学校の図書室はなんて素晴らしいのかしら♪)
「ふぅ、何か変に気を使って疲れたな……」
「図書委員さん、お仕事お疲れ様。次はこの本を棚に戻してくれるかしら?」
「……誰が図書委員だよ」
「あら、ゴメンなさい。誰かさんが柄にもなく図書委員のフリをして美少女二人に近づこうとしていたから、つい口に出てしまったわ」
「別に、ナンパ目的で図書委員のフリしたわけじゃないから……向こうが勝手に誤解しただけだから……」
(てか、何で俺は委員長にこんな問い詰められているんだろう……?)
「だけど、その割にはあの二人に話しかけられて、まんざらでもなさそうに見えたのは気のせいかしら? 随分と、顏が赤いように見えたけど……」
(まったく……わたしと話している時は、あんな風に顔を赤くすることなんて無いくせに――)
「それは単に、滅多に話しかけられない相手に話しかけられて緊張しただけだよ。
はぁ、そもそも『ぼっち』の俺が女子とまともに話せるわけが無いだろう? 俺が唯一緊張しないで話せる女子なんて委員長だけだよ」
「そ、そうなのね……」
(一応、わたしのこと……『女子』とは認識してくれていたのね……)
「…………?」
(何で、委員長の方が顔赤くなってるんだ……?)
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう。4巻で表紙を飾るはずの委員長よ♪
最近、わたしの出番が多すぎて逆に不安になってきたわ……。こんなに出番をもらえるなんてなにか罰があたるんじゃないからしら……。
さーて、次回の『何故かの』は♪」
次回「痴話喧嘩」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。
皆、出す手は決まったかしら? 今日は『パー』を出すかもしれないわよ……?
ペタペタ・ペタりん♪
じゃん・けん・ポン♪」
【グー】
「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
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