第342話 一年生編「図書委員」
「この前はクラス委員長しか決めなかったから、今日のHRは残りの委員を決める。じゃあ、委員長。あとは任せた。俺は職員室で寝てるから、決まったら報告しに来てくれ……」
「はい、分かりました」
(はぁ、最初のHRで何で『クラス委員長』だけ決めるのか謎に思っていたけど、まさか担任の先生が残りの委員を決める作業を委員長のわたしに丸投げするためとはね……)
「じゃあ、黒板にまだ決まっていない委員会を書いていくから、皆好きな委員会に立候補してくれるかしら?」
「好きな委員会って、そんなのできたら誰もやりたくないに決まってるよな!」
「ウェーイ!」
「そうだな。山田と沢渡の言う通りだろ。立候補制なんかにしたら誰も立候補しないに決まってるだろ。あの委員長バカかよ?」
「因みに、最後まで誰も立候補が無くて決まらなかった場合は、わたしが委員長権限で適当な人を役員に指名するわ。クフフ……特にわたしのことを『バカ』とか言ったハゲには二、三個くらいの委員を掛け持ちしてもらっても良いかもね?」
「おい! あの委員長クソ最悪だぞ!?」
「吉田ざまだな!!」
「ウェーイ!」
「お前ら笑ってるんじゃねぇええええ! てか、おい委員長! そんな好き勝手が許されるとか思っているのかよ!」
「あら、貴方は……確か『ハゲ田くん』だったかしら?」
「ハゲ田じゃねぇ! 吉田だ! てかこれは野球部だから坊主にしただけでハゲてるわけじゃねぇからな!」
「ちょっと、耳がハゲるから声のボリュームを少し下げてくれるかしら?」
「耳がハゲるって何そのパワーワード!?」
「因みに、吉田くんはこの決め方に文句があるらしいけど、皆はわたし達の担任をちゃんと見ていなかったのかしら?」
「担任……って、あの見るからにやる気のなさそうな担任か?」
「ええ、このHRを委員長のわたしに任せて職員室に行ったあの担任よ。あの性格からして……『ちゃんと皆で仲良く決めろよ』なんて言うタイプに見えるかしら……?」
「うっ、それは……」
「むしろ『残りの委員さえ決まれば適当でいい』とか言いそうじゃないかしら?」
「「「「「うーん……」」」」」 ← クラス一同
(((((メッチャ言いそう……)))))
「さて、皆が納得したところで立候補はあるかしら? クフフ……♪」
「はい! 俺、放送委員やりたいです!」
「私は保険委員!」
「だったら俺は福祉委員!」
「じゃあ、あたしは応援委員!」
「俺は天気予報委員!」
「私も同じので!」
「あては占い師委員!」
「ウチは諜報員!」
「私は飼育委員をやりたいフレンズなんだね!」
「ウェーイ!」
「なら、俺は体育委員だな……」
「「「あ、ハゲだから……」」」 ← 一部のクラスメイト
「ハゲは関係ねぇだろうが! てか、今ハゲって言ったやつ誰だコラァアー!」
「この調子なら、良い感じに残りの委員も決まりそうね……」
(でも、この学校って変な委員会とか部活が多くないかしら? そう言えば、部活動見学の時に『なんとかシャトーブリアン部』とかよく分からない部活があったわね……)
「――さて、残っている委員は『図書委員』くらいかしらね?」
(図書委員ね……。もしかしたら、誰かさんが立候補してくれるかと思ったんだけど――)
「…………」 ← 黙々とラノベを読む安藤くん
(滅亡巨乳パットが全ての巨乳女子を貧乳女子に変えて、胸の大きさで争いが起きない世界に変える話か……。中々、コアな設定のラノベだなこれ……)
(何で安藤くんはHR中なのにラノベを読んでいるのよ!! クッ、この男……担任の先生が職員室に行った途端、ここぞとばかりにラノベを広げて……少しはHRに参加しようとしなさいよね!?)
「図書委員は二名まで立候補が欲しいのだけど……」
「「「「「…………」」」」」 シーン ← 静かになるクラスメイト
「まぁ、せっかくだから……一人はわたしがクラス委員長と一緒に図書委員も兼任するわ」
「「「「「ホッ……」」」」」← 安心するクラスメイト
「だから、あと一人誰か立候補してくれるかしら?」
「「「「「…………」」」」」 シーン ← 静かになるクラスメイト
「まぁ、そうなるわよね……」
(仕方ないわね……。こうなったら、当初の予定通りわたしが委員長権限を使ってまだどの委員にも立候補してない安藤くんを強制的に図書委員に――)
「このまま立候補が出ないのなら、わたしがまだ立候補していない人の中から勝手に選ぶけどいいのかしら? クフフ……♪」
(――ん? ちょっと、待ちなさい……。わたしってば、何で元から安藤くんを選ぶつもりでいるのかしら……?
いや、これはHRにラノベを読んでいる安藤くんに罰を与えるためであって、別にわたしが安藤くんと一緒に図書委員をしたいなんてことは無いのよ?
ほら、安藤くんってあまり真面目じゃない感じがあるでしょう? だから、わたしが一緒の図書委員になればそれも監視できるということなのよ……。
でも、流石にここでいきなり安藤くんを指名するのもあれだから、再度立候補を募ってそれで、誰も手を上げなかったら、安藤くん生贄にするのがフェアかしらね? そうね。後で安藤くんにわたしが指名したことで――、
『委員長もしかして、俺と一緒に図書委員やりたかったの?』
……とか、言われても癪だからそうしましょう……)
「じゃあ、これが最後の確認よ。まだどの委員会にも入ってない人で、図書委員に立候補してくれる人はいないかしら?」
(――というか、安藤くん! そろそろ、ラノベを読むのを止めてわたしの話を聞いたらどうなのかしら!?) ギロリ!
「…………ん?」
(なんか視線を感じると思ったら、委員長が図書委員の立候補を募っているのか。うーん、図書委員ねぇ……。って、よく見たら委員長の奴、クラス委員長と図書委員を兼任しているのか……。確かに、それだと委員長の負担が大きそうだし誰かが図書委員に立候補した方が良いのか?
まぁ、相方が委員長なら俺も退屈はしなさそうだし、どうせ放課後は図書室でラノベ読むんだから立候補くらいしてもいいかなぁ……)
(クフフ……♪ 安藤くん、そんなのんきな顔をしていられるのも今の内よ? この立候補で誰も手を上げなかったら……
『じゃあ、まだどの委員にも立候補してない安藤くんにやってもらおうかしら?』
――って、わたしが指名して――)
「委員長、俺――」
「はいはいはぁああああああああああああああああああい! 俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺がぁあああああああああああ~っ! 立候補してやるぜぇええええええええええええええええええええええええ!」
「「「「「ぐあぁあああああああああああああ!」」」」」 ←突然の大声に苦しむクラスメイト
「ゴラァア! 山田うるせぇぞ! 大声出すんじゃねぇえ!」
「ウェーイ!」
「おう! 吉田! 沢渡ゴメンな! でも、委員長が立候補してない奴を選ぶって言うから、そしたら、選ばれるのは俺だろ? だから、逆に自分から立候補してやったぜ!」
「た、確か……山田くんだったかしら? 立候補してくれてありがとう……」
(や、山田ぁぁああああああああああああああああああああああああああああ!
……くっ! 確かに、山田くんもまだどの委員会にも入ってなかったわね……。でも、アンタはお呼びじゃないのよ!
――って、だからそれだと、わたしが安藤くんと図書委員になりたかったみたいじゃないかしら? 別に、安藤くんのことなんかどうでもいいのよ!
ただ……山田はうるさそうだし、安藤くんの方がまだ――『退屈はしなさそう』だと思っただけよ……)
「じゃあ、これですべての委員は決まったわね。わたしは先生を呼んで来るわ」
「…………」
(なんだ……。せっかく立候補しようかと思ったけど、山田に取られちゃったな。まぁ、別にいいけど……。
でも、少しだけ――いや、気のせいか……)
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとう。4巻で表紙を飾るという栄光の未来が待っている委員長よ♪
わたしが大活躍の一年生編どうかしら? と思ったけど、なんか山田とかどうでもいいモブが活躍している気がするのは気のせいかしら……?
まぁ、いいわ。クフフ……表紙を飾る予定のメインキャラクターであるわたしはモブキャラの出番にどうこう言うほど、器が小さくないものね?
さーて、次回の『何故かの』は♪」
次回「『何故かの』一年生編(まだまだ続きます)」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。
皆、出す手は決まったかしら? 今日は『チョキ』を出すかもしれないわよ……?
ペタペタ・ペタりん♪
じゃん・けん・ポン♪」
【チョキ】
「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
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