第340話「小さな約束」


 クリスマス当日


「おう、幼女っ子! 待たせたな! 山田様の登場だぜ!」

「もう! おバカのおにいたんってばおそいです! れでぃーをまたせるなんて、か、かれ……」

「ん? どうしたんだ? 幼女っ子?」

「な! 何でもないでしゅ! とにかく、おバカのおにいたんは次からはちゃんと、あたちよりも先に来て待っていてくだちゃいね?」


(それが、か、かれ……ぼーいふれんどとしてのまなーです!)


「そうは言っても、幼女っ子。待ち合わせの時間はお昼の一時にこの公園だろ? 今は12時47分だから、まだ17分も時間があるぞ! 良かったな!」

「そうじゃないんです! こういうのはおにいたんの方があたちより先に来て待っていないとダメなんです!」


(だ、だって、あたちはおにいたんが来るまで30分もここで待ってたのに……もう、おにいたんのおバカ!)


「だけど……今日、おにいたんがあたちと会ってくれたのは……ほめてあげるます! おバカのおにいたんは学校ではモテモテの超スーパー人気者なんですよね? あたちいがいにも、クリスマスの予定あったんじゃないんですか?」

「ん、予定か? そりゃあ、俺はウルトラモテモテの超グレートスーパー人気者だからな! 今日でも昨日でも明日でも常に毎日が(遊ぶ)予定だらけだぜ!」

「さ、さすがはおにいたんです!」


(そんな忙しいのに、おバカのおにいたんは、あたちを選んでくれたんでしゅね!)


(そう言えば昨日、吉田の奴から遊びの誘いを受けた時に……


『はぁああああ!? や、山田がクリスマスに予定だと……う、嘘だぁあああああああああああああああああああ!?』


 とか言ってたけど、あれは何だったんだろうな? まっ、いいか!)


「でも、今日はクリスマスだろ? 幼女っ子は俺なんかと遊んでていいのか? 家でクリスマスパーティーとかしないのか?」

「五時までにお家に帰ればいいので大丈夫です! そ、それに、今日はどうしても、おにいたんとあそびたくて……」


(だって、小学生にもなってクリスマスに親以外の異性といないなんて『人間失格』だって、クラスのみんながいってたもん! だから、あたちもこれで『勝ち組』です♪)


「そうか! なら、今日は俺も時間ギリギリまで幼女っ子に付き合うぞ! でも、幼女っ子はちゃんと門限を守って偉いな!」

「はい! クリスマスはサンタさんの来る日だから、良い子にしないとダメっておかあさんがいってたです!」

「おう! 幼女っ子は面白いことを言うんだな! サンタさんはいないんだぞ!」


「え…………?」 ← この世の終わりを知ったかのような顔の幼女


(お、おにいたん……?)


「……あ、ヤベ」


(俺様としたことが、つい幼女っ子に真実をいちゃったぞ! ど、どうしよう……幼女っ子がこの世の終わりみたいな顔してる……。仕方ない。ここは俺様が大人代表として、幼女っ子に真実を伝えてやろう……)


「おバカのおにいたん、サンタさんがいないって……本当なんですか?」

「幼女っ子。今から、俺様がサンタさんの真実を教えるから、よく聞くんだぞ……」

「はい……」


「サンタは死んだ! もういない!」

「ふぇ……ふぇええええええええええええええええええええええええ!?」



(サンタさんって、いつの間に死んじゃったんでしゅかぁあああああああああああ!?)


(幼女っ子もビックリだよな……。俺様だって、この真実を聞いた時は驚いたさ……)


「お、おバカのおにいたん! それはどういうことですか!?」

「幼女っ子も気になるよな……。いいぜ、教えてやる! 俺がこの真実を知った時のことをな!」


(そう、あれは俺が幼女っ子と同じ小学生の頃だったな……)




「父ちゃん! 父ちゃん! 明日はサンタさんが来るんだよな!? 俺、欲しいプレゼントがめっちゃ欲しいぞ!?」

「うん、息子よ。少し、落ち着こうな? プレゼントが欲し過ぎて、存在だけでなく日本語までもうるさくなっちゃっているからな? それで、プレゼントは何が欲しいんだい?」

「えっと、えっと! すっげぇえ! プレミアムで! すっげええ! カッコいいやつでも大丈夫かな!?」

「ああ、大丈夫さ! なんたって、サンタさんだからな! きっと3000円までなら、どんなプレゼントでも用意してくれると思うぞ。それでどんなプレゼントがいいんだい? 今やっている何とかレンジャーのロボットか? それとも何とか仮面の変身グッズか?」

「何とか仮面のほうだぞ!」

「ああ、仮面の方かぁ~」

「おう! 友達が買ってもらったって言ってた『プレミアムバ●ダイ』ってやつの『コンプリートセレクションXギア』ってのが欲しいんだぞ!」

「…………」

「おう、父ちゃん! 急に黙ってどうしたんだ?」

「うん、息子よ。少し待ってくれるかな……? ヘイシャリ」


『ゴヨウケンハナンデショウカ?』 ← パパのスマホ


「『プレミアムバ●ダイ』……『コンプリートセレクションXギア』……値段」


『調べました。お値段は……五万円デス』 ← パパのスマホ


「…………」

「おう! 父ちゃん! 頭を抱えてどうしたんだ!?」

「息子よ……。いいか? 大事な話がある……」

「大事な話?」

「ああ、実はだな……。サンタは死んだ! もういない!」

「――ッ!?」 ← ショックを受ける山田(ショタ)




(あの時は、流石の俺様でもショックだったな……)


「それで、俺の父ちゃんは教えてくれたんだよ。サンタはクリスマスの過激すぎる労働でのせいでとっくの昔に死んだってな……」

「で、でも……おバカのおにいたん、去年はちゃんとあたちの所にサンタが来ましたよ……?」

「ああ、それはきっと……サンタの遺産だ!」

「サンタさんの……遺産?」

「これも、俺の父ちゃんから聞いた話だけどな……」





「息子よ。いいか? サンタが死んでもプレゼントが届く理由はな……。サンタの遺産がまだ残っているからだ! 昔……サンタはその命が尽きる前にこう言った」



サンタ『おれの財宝プレゼントか? 欲しけりゃくれてやる……。探せぇ!! この世のプレゼントのすべてをそこに置いてきた!』



「サンタの死に際に放った一言は、全ての子を持つ親を雪国へと駆り立てた……。そう! サンタの残した財宝プレゼント……通称サンピースを求めて!

 息子よ。去年までお前がもらっていたプレゼントも、その大人達が見つけたサンピースの一部に過ぎないんだよ。しかし、サンタの財宝ゲート・オブ・サンタは有限だ。このまま毎年プレゼントを配っていればいづれ無くなってしまうだろう。


そして、サンタの秘密を知ったお前には二つの道がある!


 一つはこのまま、限られたサンタの財宝をクリスマスプレゼントとして受け取るか?


 もう一つは、お前がクリスマスプレゼントを諦めることで、その分のプレゼントを未来の子供達のために取っておくかだ!


 さぁ、好きな方を選べ! そして、できれば5万のプレゼントは勘弁してくれ!」




「てな……」

「そ、それで……おにいたんはどっちを選んだんですか?」

「そんなのもちろん……。プレゼントを諦めたに決まっているだろ?」

「お、おにいたん!」

「幼女っ子、俺様を誰だと思ってやがる? 俺は……山田だ山田だ山田だ山田だ山田だ山田だ山田だ山田だ山田だ山田だ山田だ~、そう! 山田様だぁあああああああああああああああああああああ!

 そんな皆の山田様が未来の子供達のプレゼントを奪うなんてマネができるかよ!」

「おにいたん、あたち感動しました! あたちも今年からプレゼントもらうのあきらめます!」

「おいおい、幼女っ子!? 別に、お前はまだまだ小さいんだから、そんなこと言わなくてもいいんだぞ!?」

「でも、あたちだけサンタさんの秘密を知っておいてプレゼントを受け取り続けるなんてできないでしゅ!」

「そうか! 幼女っ子は偉いんだな!」

「はい! でも……あたちがサンタさんの真実を知っちゃったのは、おバカのおにいたんのせいなんですから……せ『責任』は取って欲しいです!」

「ん? 確かに、幼女っ子の言う通りだな……。よし、わかった! 責任でも辞任でもなんでも取ってやる!」

「ほ、ほんとうでしゅか!?」

「ああ! 何でも言ってみろ!」

「じゃ、じゃあ……」


(こ、これは、もしかして……チャンスです! 他の皆におにいたんを取られないように……あたちが、おにいたんの一番の『オンナ』になるために……)


「おにいたん! これからも、あたちとずっと一緒にいてください!」

「ん? そんなのでいいのか? 別に、いいぞ!」

「ほんとうでしゅか!? ウソだったら、あたち絶対に許さないですよ!?」

「ああ! 男ににごりはねぇえぜ!」 ←『二言』って言いたかった


(つまり、あれだろ? ずっと遊び相手でいてくれって意味だろ? そんなの楽勝だぜ!)


「じゃあ、おにいたん! ゆびきりしましょう! おにいたんはおバカだから、すぐに忘れられたら困ります!」

「おういいぜ! 指切りだな!」

「じゃあ、おにいたん! い、いきますよ? ゆびきりげんまん~♪」

「ウソついたらぁああああああああああああ!」

「ごしゅんくぎ千本……飲ましましゅ!」

「指切ったぁああああああああああああああ!」


(あれ? 指切りの内容ってこんな感じだったっけ……? まっいいか!)


(えへへ……これで、おにいたんとずっと一緒です♪)


「おにいたん、約束ですからね?」

「おう! 約束だな!」


 この日、幼女は少し大人になった。






【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう。4巻で表紙を飾るはずの委員長よ♪

 今回の話……わたし達は一体何を見せられたのかしらね……。


 さて、次回から『何故かの』はしばらく番外編に突入する予定なのだけど、ここで皆にアンケートを取るわ。

 アンケートの内容はズバリ『どのキャラの話が読みたいか?』よ! このお話のコメント欄に読みたいキャラの名前をコメントしてね♪ 番外編は本編で出番が少なかったキャラの話をやる予定だけど、コメントをくれればそのキャラの番外編をやるかもしれないわよ。もちろん、どのキャラの名前を書けばいいか分かっているわよね? クフフ……♪


 じゃあ、次回の『何故かの』は♪」


次回「『何故かの』●●●編」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。

 皆、出す手は決まったかしら? わたしはいつも通り『グー』を出すかもしれないわよ……?


 ペタペタ・ペタりん♪


   じゃん・けん・ポン♪」 



























【パー】



「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」


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