第336話「減点したい気持ち」
「おい! 今日って俺が朝倉さんのプレゼントを選びのが目的だったよな!?」
(なのに、何で、猫と触れ合ったり、お前らの服を見たり、映画を見たり、ス●バでのんびり映画の感想とか語り合ってるんだよ!? これじゃ、まるで俺がお前らとデートでもしてるみたいじゃないか!)
「センパイ、何言ってるんですかぁ~? ちゃんと、ペットショップに行った『ついで』に動物アクセサリーを見たりもしたじゃないですかぁ~
「お兄ちゃん、そうだよ! お洋服を見てたのもサクラお義姉ちゃんにプレゼントするアクセサリーとかの候補を探す『ついで』だし、映画も……たまたま、そこに映画館があったから休憩『ついで』に見ただけじゃん!」
「その『ついで』の行動の方がメインになっている気がするんだよなぁ……」
(そもそも、姉ヶ崎妹の奴は朝倉さんのプレゼント選びの方が『ついで』になっていた気がするんだけど……気のせいかな?)
「センパイってば、そんな細かいことは良いじゃないですかぁ~♪ 結局、プレゼントは決まったんですから
「いや、まぁ……確かに、プレゼントは決まったけどさ……」
(プレゼント選んでる時間と、その他のお前らの行動に付き合った時間の比率が明らかにおかしいんだよなぁ……)
「でも、お兄ちゃんも思い切ったプレゼントにしたよねぇ……」
「まぁ、センパイらしいと言えばらしいですけどねぇ~
「え、このプレゼントダメか……?」
「うーん、ダメじゃないと思うけど……普通に嬉しい人もいると思うし」
「でも、朝倉センパイって結構ロマンチストな感じがあるから、普通にアクセサリーとかの方が喜びそうですよねぇ~
「だけど、お兄ちゃんが『それ』をプレゼントに選んだってことは、サクラお義姉ちゃんが喜ぶって確証があるってことだよね?」
「まぁな。多分、朝倉さんは普通に『これ』なら喜ぶと思うんだよ」
(俺も最初に『これ』が候補に出た時はアリだと思ったしな……)
「なら、プレゼントは『それ』でいいんじゃないかにゃ?」
「ですねぇ~、それに、朝倉センパイならどんなプレゼントでも『センパイから』ってだけで喜びそうですし~
「まぁ、お前らも一応ありがとうな」
(結局、プレゼント選びの参考にはあまりなってない気がするけど……)
「そ、そう言えば妹よ。なんか、最初に言っていた浮気ポイントとかいう理不尽の極みみたいなあれはどうなったの……?」
「え、それならとっくに『0ポイント』だけど?」
「いつの間に、そんな減点されてたの!?」
「何言っているの! だってお兄ちゃん……ペットショップでは姉ヶ崎さんと『将来どんなペットが飼いたいですか?』って内容で楽しく話してたので『マイナス10点』でしょ? それに、服屋さんでは私よりも姉ヶ崎さんの方をチラ見してた回数が多かったので『マイナス20点』でしょ? 後は、映画で姉ヶ崎さんにお兄ちゃんのポップコーンを分けてあげてたので『マイナス10点』で……他にもちょくちょく、ムカついたからなんだかんだで減点して、とっくに『0ポイント』だよ」
「減点の理由が言いがかりすぎるし、最後の理由が特に暴君すぎるだろ!?」
(それに、ペットの奴は普通に『センパイは将来はどんな子が欲しいですか?』っていうから、普通に答えただけだし、服屋で姉ヶ崎の方をチラ見してたのは記憶にございません! 映画のポップコーンだって姉ヶ崎が勝手に俺のポップコーンを取ってただけだぞ!?)
「まぁ、でも……私も鬼じゃないからねぇ……お兄ちゃんがどうしてもサクラお義姉ちゃんに告げ口してほしくないって言うのなら、イレブンイレブンのプレミアムプリン一週間分で手を打ってあ上げないこともないかにゃ?」
「ぐぬぬ……妹よ。お前、お兄ちゃんの足元を見やがって……」
「別に、嫌ならさっき上げた減点ポイントの部分をサクラお義姉ちゃんにメールで密告するだけだけど――」
「妹よ。契約成立だ!」
(あれぇ~、妹に来てもらったのもしかして、悪手だったのかぁ……)
「セ~ンパイ♪ 何か、もう一つ忘れていませんかぁ~
「ん? もう一つ忘れていること……」
(えーと、何かあったかなぁ~?)
「あ、そうだ! 今日はCA文庫の発売日――」
「じゃなくて、アタシの採点ですよぉーっ!」
(一応、これでもセンパイの彼女役として今日のデートをちゃんと採点してたんですからね!?)
(ぶっちゃけ覚えてたけどさ……それを頼んだ覚えはないんだよなぁ……)
「それで、結果はどうなんだよ? 途中から減点もあまり言わなかったってことは、そこそこの点数は残っているんだろ?」
「はぁ? 何を言っているんですか。途中から減点を言わなくなったのは減点するところがありすぎて言うのが面倒になっただけで、センパイのデートは、とっくに0ポイントをつき破っての『マイナス99ポイント』ですねぇ~
「まさかのマイナスに限界突破だと!? 俺のどこにそんな減点要素があったんだよ!」
「何言っているんですかぁ~? だって、センパイってば……ペットショップでは、妹さんと家で飼っているニャンコの話で盛り上がってましたし……それに、服屋さんではアタシよりも妹さんの服ばっかり褒めてましたよね? 後は、映画でも妹さんにだけポップコーンを買ってあげてましたし……他にもちょくちょく、彼女のアタシをほったらかしにして妹さんばっかり構うので、なんだかんだで減点してポイントなんかとっくに『マイナス』ですよぉ~!」
(まったく、センパイは少し妹さんと仲良くしすぎじゃないですかねぇ……)
「いや……そもそも、お前は本当の彼女じゃないからな?」
「それでも、付き合ってあげてる可愛い(←ここ重要)後輩をほったらかしするってどういうことですか!? 罰としてアタシに何かプレゼントをください! マジ
「なんたる理不尽の極みマジ
「お兄ちゃん、変な口癖移っているから……」
(まったく、お兄ちゃんは少し姉ヶ崎さんと仲良くしすぎじゃなのかにゃ……)
「でも、まぁ……確かに、姉ヶ崎にはバイトの件では世話になったからな……」
「え?」
「ほら、姉ヶ崎……お前これ欲しいって言ってただろ?」
「これって……」
(最初のお店でアタシが可愛いって言ってた『クマのストラップ』じゃないですか……)
「アタシのために買っていてくれたんですか!?」
「……一応、妹用に『パンダのストラップ』を買うついでだけどな」
「センパイ……」
「どうだ? これで、少しは加点してくれてもいいんじゃないのか?」
「ちょ、センパイ……そういうあざといのは、アタシの専売特許ですよぉ~? でも、仕方ないから、少しは加点してあげてもいいですかねぇ……」
「ほう、何点か聞かせてもらうか?」
「それはもちろん――」
(こんなの『プラス100点』に決まっているじゃないですか……。
だから――)
「『1ポイント』ですねぇ~
「これだけのサプライズして『1点』とか採点厳し過ぎない!?」
「女心は難しいんですよぉ~♪」
(センパイのバーカ! 自分の持ちポイントが『マイナス99ポイント』だったの忘れたんですか?)
「でも、いいんですかぁ~? アタシにこんなサプライズしちゃって……」
(センパイはズルいと思う……。普段は頼りないくせに――、
『誰よりもお前を姉と比べているのはお前自身だよ……』
『その子、俺の後輩なんで手離してくれる……?』
『姉ヶ崎……お前これ欲しいって言ってただろ?』
だけど、たまにカッコよくなったりして、アタシの心を妙に惑わしてくる……)
「朝倉センパイにバレちゃったら大変ですよぉ~
(それなのに――)
「ん? どうして、朝倉さんにバレたら大変なんだ? 別に、それは可愛い『後輩』へのお礼なんだから問題無いだろ?」
「……アハ! そ、そうですよねぇ~
(肝心のセンパイは、アタシのことなんか見てすらいないのが一番ズルい……)
「はぁ……本当に馬鹿なんだから……」
「え! 何で俺、妹に怒られたの!?」
「別にぃ~?」
(本当に……姉ヶ崎さんもバカだよ……)
「フフ♪ でも、センパイ……プレゼントありがとうございます
(アタシがどんなにこの気持ちを減点しようとしても、センパイはすぐにアタシのポイントを稼いでしまう。
本当に……ズルいセンパイ。
はぁ、嫌いになれたら……どれだけ楽だったんですかねぇ~
【あとがき】
「皆、いつも応援してくれてありがとう。委員長よ。
さーて、次回の『何故かの』は♪」
次回「プレゼント」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
【チョキ】
「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
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