第335話「プレゼント選び」


「センパ~イ♪ 見てくださいよ。このクマのストラップ! メッチャ可愛くないですかぁ~キャピ!


(と、言いながら、さりげなくセンパイの方を振り向いてメッチャ可愛いアタシのキメ顔を見せちゃうアタッークキャピ!


「お兄ちゃん! 見て見て!? このパンダのストラップ凄く可愛い!」

「……なぁ、妹よ。これ買ってやるからさっきのマイナス20点無しにしてくれない?」

「もう、お兄ちゃんは本当に仕方ないなぁ~、一回だけだからね?」

「よし! じゃあ、さっそく買ってくる!」


(しかし、この『モノクロパンダストラップ』って、そんな言うほど可愛いか……? まぁ、これくらいの値段なら――)


「ちょっと、センパイ! アタシの話も聞いてくださいよ!? 彼女を無視して、妹さんにかまってるとか減点ですよ! 減点!」

「いや、だって……実際には彼女じゃないし……もちろん、これが朝倉さんならちゃんと相手してるぞ?」


(むしろ、妹と朝倉さんの二人だけが話して、俺がぼっちになるまであるからな!)


「べぇー! 残念でした♪ やっぱり、姉ヶ崎さんだと……サクラお義姉ちゃんの代わりは荷が重かった力不足だったのかにゃ~?」

「ムキィイイイイイイイイイイイイイイイイ!?」


(何それ! 超ムゥウウウウウウウウウウカァアアアアアツゥウウウウウクゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!)


「えっと……とりあえず、俺このストラップ買ってくるな……」


(朝倉さんのプレゼント選びにこいつらを一緒にしたのやっぱり間違いだったかな……)




「さて、ここの雑貨はあんまりいいの見つからなかったし、次は何処の店で朝倉さんのプレゼント探すか……なぁ、お前らは何処の店がいいと思う?」

「ていうか、せっかくのクリスマスプレゼントなんだから、私達に聞かないでお兄ちゃん自身が選んだプレゼントの方がいいじゃないの?」

「確かに、妹さんの言う通りですねぇ~、センパイ、マイナス10点です!」

「お前らそう言うけどな……。この俺がまともなプレゼントを用意できると思っているのか? 俺が普通に選んだら、ちょっと珍しいラノベとかがクリスマスプレゼントになるんだぞ?」


「「うっ……」」


((あ、ありそう……))


「だけど、今回はラノベでも一巻まるまるメインテーマとして扱われることの多い『クリスマス』ってイベントだし、俺も朝倉さんには心から喜んで欲しいと思っているから、恥を忍んでお前達にプレゼント選びを手伝ってもらっているんだよ」

「確かに、お兄ちゃんが女心をちゃんと考えてプレゼントを選ぶなんて不可能だもんね……」

「センパイ、すみません……。さっきのマイナス10点は撤回させていただきます……」

「うん、普段俺をボロクソにディスってくるお前らがそんな素直に謝ってくると、それはそれで複雑な気分になるんだけどね?

 まぁ、そう言うわけでお前らならクリスマスプレゼントってどんなものがいいと思う?」


(前に、委員長に相談した時はなんだかんだ言って『高価な物』は値段相応の誠意が相手に伝わるって言われたし、まぁ……ラノベ10~20冊分くらいの予算は覚悟しているつもりだけど)


「うーん、クリスマスプレゼントに、私がお兄ちゃんからもらって嬉しい物か……」

「クリスマスプレゼントに、アタシがセンパイからもらって嬉しい物ですかぁ~?」


((それなら、やっぱり――))


「「……土地かな?」」


「せめてダイヤの指輪とか言ってくれた方が、まだ可愛いと思えたよ……」


(え、何? お前らその年齢でもう老後に備えて固定資産欲しいとか思っているの?)


「ちょ! お兄ちゃんてば何言ってるのかにゃ!? ゆ、指輪とか……そんなのもらえるわけないじゃん!? そそ、それに……私はお兄ちゃんの『妹』だよ! そんなの重すぎてもらえないよ……えへへ♪」

「ちょ! センパイてば何言ってるんですかぁ!? ゆ、指輪とか……そんなのもらえるわけないじゃないですかぁ!? そ、それに……プレゼントにしてはちょっと、重すぎるっていうかぁ~、テヘキャピ!

「もう、俺にはお前らの恥ずかしがるポイントが分からないよ……」


(土地なんかに比べたら、指輪の方が全然安いだろ……)


「もう、お兄ちゃんは仕方ないなぁ……」

「もう、センパイは仕方ないですねぇ~」


((本当に『乙女心』って言うのが分かってないんだから……))


「だから、私がサクラお義姉ちゃんの喜びそうなプレゼント一緒に探してあげるよ♪」

「だから、アタシが朝倉センパイの喜びそうなプレゼント一緒に探してあげますよキャピ!


「へいへい、二人ともありがとうな」


(お前たちは、本当に良い妹と後輩だよ。まったくな……)




「センパイ、見てくださいよ! あそこのペットショップ、ニャンニャンのふれあい広場がありますよ!? キャー! もう、マジできゃわきゃわなんですけどぉ~~キャピ!

「うぅ~、お兄ちゃん! この子猫ちゃんが可愛すぎるよぉ……。はぁ~、こんな天使な子猫ちゃんが家にもいたらなぁ……。よし、決めた! 子猫ちゃん、家の子にするぅ!」

「なぁ、妹よ。一応、家にも『ノベ』という猫がいるはずなんだが……忘れてないかね?」

「センパイのお家ニャンニャンいるんですか!? 今度、行くんで見せてください!」

「ぶぅーっ! 家は一見さんお断りですぅ~!」

「はぁああああああ!? 別に、アンタには聞いてないし!」

「ちょ! お前ら、猫が驚くからケンカするなって!」



「お兄ちゃん、この服見て見て! どう、私に似合うかにゃ♪」

「センパイ、これ見てくださいよ♪ アタシに似合いますかキャピ!

「…………」


(もしここで、俺が別の服を進めたらそっちを試着してくるのかな……?)


「俺的には、あっちの『おへそ丸出しファツション』の方が似合うと――」

「「減点!!」」



「ねぇ、お兄ちゃん! ここって上の階は映画館があったよね? ちょっと、覗いてみないかにゃ?」

「いや、お前それ……絶対に、映画も見る流れだよな?」

「センパイ、いいじゃないですか! アタシも賛成ですねぇ~♪ 観に行きましょうよぉ~キャピ!

「ほら、姉ヶ崎さんもこう言っているし、時間もあるんだから二時間くらい余裕だって!」

「二時間って、お前ら本格的に映画見る気だな!?」


「「てへぺろ♪」」


「しかも、こんな時だけ仲が良いだと!? あ、因みに映画なら今上映している『穴子の子』が俺はオススメなんだけど……」

「姉ヶ崎さん『デッカグヤは告発させたい』なんてどうかな?」

「安藤さん、いいねぇ~キャピ!

「お願い無視しないで!?」



「いらっしゃいませ。ご注文をどうぞ♪」


(あ、いつもの浮気男だ。今日は二股デートか? クリスマス直前で、もげればいいのに……)


「アタシは『グリーンアップル ジェリーフラペチーノ』でキャピ!

「じゃあ、私は『ベイクドアップルピンクフラペチーノ』かな。お兄ちゃんは?」

「そうだな。俺はアイスコーヒーの……」


(フッ、俺は朝倉と幾たびの戦場カフェを超えてある結論にたどりついたのさ。こういう店はメニューが意味不な呪文だとしても、とりあえず『アイスコーヒー』と言えば何とかなるってな! それは別として、さっきの映画館で金をケチってドリンクを買わなかったから、オラ喉が乾いちまったぞ……。確か、こういう店はサイズがSMLじゃなくて別の言い方なんだよな? えーと、Mサイズは何て言えばいいんだっけ?

 確か――)


「サイズは……『テール』で!」

「センパイ、それを言うなら『Tallトール』です……」

「尻尾サイズって……お兄ちゃんは一体、何を飲むつもりなのかにゃ?」

「ププッ……か、かしこまりました……」

「…………」




(――まぁ、そんなわけで順調に、朝倉さんのプレゼント選びを終えたわけだが……)




「それにしても、映画面白かったねー♪」

「主演の山野紫耀くんもメッチャイケメンだったね! センパイはどうでしたかキャピ?

「いや、確かに映画は面白かったけどさ……」


(まさか、政府の不正を告発するために群馬県が新都市『デッカグヤ』を名乗って独立国家を立ち上げるとは――)


「――って、いや! 全然プレゼント選びしてないじゃん!?」





【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとう。きっと、4巻で表紙を飾る委員長よ♪

 さーて、次回の『何故かの』は♪」


次回「約束」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。

 皆、出す手は決まったかしら? わたしはいつも通り『グー』を出すかもしれないわよ……?


 ペタペタ・ペタりん♪


   じゃん・けん・ポン♪」 



























【グー】



「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」

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