第331話「無敵の店員」


「ヤバいヤバい……完全にバイト遅刻だなこりゃ……」


(まさか、山田の奴が幼女っ子軍団を高校に潜入させて鬼ごっこを始めやがって……タイミングが悪いことに、北高の白銀が遊びに来た挙句、喉が渇いたからとウチの高校の食堂でタピオカミルクティーを出張させるという……まるで、部外者のバーゲンセールみたいな非常事態が起きた所為で、生徒会長として後処理をしないといけなくてバイトに遅れちゃったよ……)


「クッソ……山田と白銀の奴、今度覚えてろよ……」


(まぁ、姉ヶ崎妹までバイトに遅れたら接客する奴がいなくなるから、あいつだけは先に帰らせたから流石にそこまでヤバイことにはなってないとは思うけど……)


 テロリ~♪ ボッチ~♪ テロリ~♪ ← ポテトの音


「ボイさん、チンさん、すみません! 来るの遅れました……」

「安藤サン! 大変ヨ!」

「姉ヶ崎サン、ピンチアルヨ!」

「ちょ、二人とも落ち着いてください! 一体、何があったんですか……?」

「客席デ姉ヶ崎サン! 大変ヨ!」

「イツモノ、クソ野郎ネ!」

「いつものクソゴミカス野郎……」


(――ハッ! あいつか!)


「姉ヶ崎!」




「ちょ! 止めてください!」

「モウ少シ、話ヲシマショウ♪」

「仕事があるんで……」

「セメテ、連絡先ダケデモ!」



(あのストーカー野郎……また懲りずに来ていたのか。しかも、また姉ヶ崎妹に馴れ馴れしく絡んでやがるし……でも、一応はお客さんだから間違えて水をぶっかける程度にして、穏便に対処しないと――)


「キャ!? ちょ……今、お尻触ったでしょ!?」


(…………ぁ?)


「ワーオ! 偶然デース! タマタマ手ガ触レテシマイマシタ~、イイオ尻デス♪」


(――――ッ!) スッカァ――ン!! ← 安藤くんが種割れした音


「…………」

「安藤サン! 早ク何トカシナ――」

「ボイさん、アレってどこでしたっけ……?」

「ア、安藤サン……? マルアゲ大丈夫……ネ?」

「チンさん、大丈夫ですよ。ちょっと、荒くなるかもしれないですけど……あった。まずはこれを押してから、これを……じゃあ、行ってきます」

「「ガ、頑張ッテ……」」


((安藤サンガ……ブチギレテルネ……))




「ちょっと、触らないでください!」

「モウ少シダケ、話シ――」

「変態ゲットだぜ! いけ、カラーボール!」


 ベチャ! ← カラーボールが変態にぶつかった音


「はぁあ!? 何だこれ……ダヨネ!」

「変態撃退用のカラーボールだよ。知らないの?」

「センパイ! って……それ、強盗撃退用のカラーボールじゃないですか!」

「ハァア!? ちょ、これ色落ちないヤツダロ!? 弁償ダゾ!」

「弁償? 何言ってるの? お前はこれから逮捕だよ。このカラーボールはお前みたいな奴が逃げてもお巡りさんが見つけられるためのものだからな?」


(まぁ、本当は強盗相手に撃退用で投げるものだって聞いたけどな……)


「逮捕? 何言ってるノネ! ワターシ、何モシテナーイ! ちょっと、手が触れちゃったダケデースネ!」

「せ、センパイ! 流石にそれ使っちゃうのはマズイですって! だって、それよっぽどのことが無いと使っちゃダメって……」

「はぁ? 姉ヶ崎妹、お前まで何を言ってるんだよ? 俺の可愛い後輩がこんなクソ野郎に痴漢されてたんだぞ……?

 いいか、防犯グッズは集めて楽しいお守りじゃない。使う時に使わなきゃ意味がねぇだろ!」


「せ、センパイ……可愛い後輩って……な、何言ってるんですか! もぅ……」


(でも……ちょっと、嬉しいかも……)


「オマエ……店員がコンナコトしてイイと思ってルノカ! お客様は神様ダゾ! 警察ヲ呼んでヤルゾ!」

「ああ、それなら大丈夫。警察ならもう呼んであるから」

「え……?」

「せ、センパイ……それって、どういう意味ですか?」


(ま、まさか、アレを使ったってわけじゃ――)


「ん? ほら、レジの下に非常事態用の通報ボタンってあるじゃん? あれ押したから、もう数分もしないうちにお巡りさんが来るんじゃない?」

「ちょ! オマエマジかよ!?」

「センパイ、あれ押しちゃったんですかぁあああああああああああああああああああ!?」


(それって、マジで強盗とかが来た時に、犯人にバレないように通報するためのボタンじゃないですかぁああああああああああ!!)


「センパイ! それは本当にヤバいですって! こんなので通報したら間違いなくクビになりますよ!」

「俺のクビ程度でお前が守れるなら十分じゃあボケェエエ!」

「ひゃ、ひゃいっ!?」


(せ、センパイ! そんなこと言われたら……勘違いしちゃうじゃないですか! もう、バカァアアアアア!)


(てか、そもそもの話。この姉ヶ崎妹のストーカー野郎の問題が解決したらバイトなんて辞めるつもりだったし、クビなんて大した問題じゃないんだよな)


「何だ何だ? 何の騒ぎだ!」

「よく分からないけど、店員がクビ覚悟で彼女を痴漢から助けたみたいだぞ!」

「あのカラーボールぶつけられてる奴が悪い奴だな!」

「皆であの外国人を取り押さえろぉおおおおおおお!!」

「ちょ! ワタシハ何も悪くないデース!?」



「警”察”だ”ぁぁああああああああああああああ”!!! 犯”人”は”何”処”だ”ぁああああああああああああああああ”!!!」



「うわぁ……ちょっと、センパイ。マジで外にパトカー来ちゃっているじゃないですか……どうするんですかこれ?」

「うーん……テヘ、やっちゃったキャピ!


(まぁ、でも……何とかなるだろ!)



 数時間後



「君、クビね」

「マジか……」


(何とかなりませんでしたぼっち!






おまけss「カツオの袋叩き」


「チクショウ……。あの店員フザケやがって……」


(やっと、警察から解放されたぜ……なんとか、厳重注意だけで済んだが……)


「あの女も男も絶対ニ許サナ――」

「ヘイ、オイニイサン」

「チョット、顔貸スネ」

「アン? お前達、何ダヨ……」

「姉ヶ崎サンニ、手ヲ出シダコト、母国デ後悔スルトイイヨ……」

「オマエ、カツオノタタキ、決定ネ……」

「ノ、ノォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」






【次回予告】


「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪

 さーて、次回の『何故かの』は♪」


次回「読者の力」 よろしくお願いします!


「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。

 ペタペタ・ペタりん♪  じゃん・けん・ポン♪」 



























【チョキ】


「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」

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