第330話「続ける理由」
テロリ~♪ テロリ~♪ テロリ~♪ ← ポテトの音
「いらっしゃ――、ちょっと……センパイ」
「あぁ……俺が接客するから姉ヶ崎妹は後ろにいろ」
(あの野郎、また来たか……)
「いらっしゃいませー、ご注文どうぞー」
「店員サン、別ノ人ニ変エテクダサーイ!」
「ご注文どうぞー」
(そう、いつぞやの姉ヶ崎妹のストーカー野郎。こいつ、前に警察のお兄さんに連行されたくせに厳重注意だけで解放されたから、その後も普通に客として来店してくるんだよなぁ……。しかも、ことあるごとに姉ヶ崎妹に絡んでナンパしようとするから、俺がなるべく接客するようにしてるんだけど……)
「ご注文は何でしょうかー」
「貴方ノ日本語! 何言ッテルカ分カリマセーン!」
「某は阿呆でしょうかー」
「何だとゴラァ!?」
「……お前、実は日本語ペラペラだろ」
「――ッ!? ナ、何ヲ言ッテルカワカリマセーン?」
「…………」 じぃー
(でも、さっき流れるような日本語でキレ出したよね? しかも、ワザとメジャーじゃない日本語でバカにしたんだけど、秒速で反応したし……)
「ト、トリアエズ! ダブルピースバーガーのセット!」
「まいど~」
(誤魔化したな……)
「センパイ、すみません……。なんか、アタシの所為で……」
「姉ヶ崎妹。お前が気にすることじゃないだろ」
「いや、でも……アタシが隠れてるせいで、あのお客さんセンパイにばっかり突っかかってくるじゃないですか?」
「まぁ、そりゃな……」
(確かに、あの客……俺が姉ヶ崎妹の代わりに接客する腹いせなのか細かい嫌がらせばっかりしてくるんだよなぁ……。
例えば、会計で金を投げてよこしたり、店内で大声を出しながら電話したり……後は、食べた後のトレイを片付けなかったりなんてことしょっちゅうだよ。
それでいて俺が注意すると『ナニイッテルカワカリマセーン! 他ノ人ヲ呼ンデクダサーイ! モチロン、可愛イ子ネ?』だもんな……。しかも、露骨に姉ヶ崎妹を指名しようとするし……)
「でも、これも仕事だし……それに、俺もこれくらいなら我慢できるから安心しろ」
「センパイ……」
「それに、金も稼げたから、あと一週間もしないでこのバイト辞める予定だしな」
「ちょっと、何ですかそれぇ~! 少し、感動しかけたアタシがバカみたいじゃないですかぁ~!」
「うるせぇ! 守ってやってることに変わりはないんだから、別にいいだろ!?」
「大ありです! アタシの気持ち的にいろいろあるんですよ!」
「知るかそんなもん!」
「フゥ……アノ二人、マタ痴話喧嘩シテルヨ?」
「カップルノマルアゲ! トッテモ仲良シ! 犬モ食ワナイネ!」
「そ、それに……センパイって、本当にバイト辞めちゃうんですか……
「まぁ……当初の予定は年末年始の資金調達のつもりだったからなぁ……」
(だから、ある程度稼げた今となっては続ける必要も無いんだけど……)
「何、お前……俺にバイト辞めて欲しくないの?」
「は……はぁあああああああああああ!? ちょ、センパイってば何を勘違いしてるんですか! べ、別に……センパイがいないと寂しいとかじゃなくて……そうです!
センパイが止めちゃったら、誰が変なお客さんからアタシを守ってくれるんですか!」
「わ、わかったよ……。だから、そんなギャーギャー騒ぐなって……」
(しかし、そうか……。今回のストーカー野郎の件が落ち着くまでは確かに一緒にいた方がいいかもしれないな……)
「じゃあ……とりあえず、一緒に帰る必要がなくなるまではバイト続けてやるよ……」
「え、センパイそれって……?」
「だ、だから……まだしばらくはここのバイトを続けるって意味だよ! 言わせんな……」
「へ、へぇ~……あ! もしかして、そんなこと言って本当は……アタシとまだ離れたくないってことなんじゃないですかねぇ~
「うるせぇ! お前、いい加減に仕事しろ!」
「フゥ……アノ二人、マダ痴話喧嘩シテルヨ?」
「カップルノマルアゲ! トッテモ鬱陶シイネ! 犬モ食ワナイネ!」
【次回予告】
「皆、いつも応援してくれてありがとうね。委員長よ♪
さーて、次回の『何故かの』は♪」
次回「無敵の店員」 よろしくお願いします!
「じゃあ、いつもの『ペタリンじゃんけん』を始めるわよ。
ペタペタ・ペタりん♪ じゃん・けん・ポン♪」
【チョキ】
「クフフ……皆のコメント、評価、待ってるわね♪」
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